発酵を手軽に楽しむためのWEBマガジン

京都の発酵食文化を支える白味噌「西京味噌」の歴史 美味しさの秘密とは?

発酵食品の中でも、日本人になじみの深い「味噌」。
一口に味噌といっても、白味噌から赤味噌、はたまた米味噌や麦味噌など、様々な分類や種類があります。
そう、味噌はそれぞれの土地土地に根付いた調味料で、地域性が強くでる発酵食品なんです。

今回は、その中でも京都の白味噌「西京味噌」についてお話していきたいと思います。

西京味噌の歴史

そもそも味噌は中国から伝来してきた発酵食品です。

発酵とは「微生物の活動によって物質が変化し、人間にとって有益なものをつくること」。
中国から伝わった味噌は、風土や気候、また、日本にいる酵母や細菌によって独自の進化を遂げてきました。

その中でも京都で進化を遂げた味噌のひとつが白味噌です。
白味噌は京都が発祥だと言われており、平安時代からすでに作られていたのだとか。

京都の伝統的な西京味噌

明治維新のときに都が江戸へ遷都され「東京」と呼ばれたのに対し、京都のことを「西京」と読んだことより、「西京味噌」と呼ばれるようになりました。

昔は主に貴族の間で食されていた西京味噌。
当時貴重だった米を贅沢につかっており、貯蔵を目的とした他の味噌に比べ塩分濃度が低く、まろやかで上品な甘みが特徴です。熟成期間が短いため、淡いクリーム色をしています。

京都の料理を支える上品で雅な味わい

米麹の割合が多く、コクのある繊細な甘みが素材の味を引き立たせてくれる西京味噌は、京料理に欠かせない調味料のひとつです。
ぬたや田楽味噌なども白味噌を使った代表的な料理ですが、白味噌といえばやっぱりお正月のイメージが強いのではないでしょうか。
お雑煮はもちろん、お正月にいただく京都の伝統的な和菓子の花びら餅にも白味噌が使われています。

京都ではお雑煮に白味噌が使われることが多い

塩分が少ないため、長期保存には不向きですが、それゆえに保存食として作られていた他の味噌とは異なり、和食から和菓子まで、なんとも上品で雅な味わいを楽しむことができます。

花びら餅が有名ですが、京都には他にも白味噌を使った和菓子があります。
例えば、7月の京都を彩る祇園祭にちなんだ老舗銘菓「祇園ちご餅」は柔らかな求肥で包まれた上品な白味噌がやさしく香ります。
また、今宮神社の門前名物「あぶり餅」は、味噌の香ばしい香りと、コクたっぷりの甘いタレがたまらないですよね。

まろやかな甘みは和食だけでなく洋食にも

和食にはもちろんですが、洋風アレンジができるのも西京味噌の良いところ。

ホワイトソースに混ぜてシチューやグラタンに入れたり、牛乳にといて和風カルボナーラにしてもおいしいですよ。 スイーツを作るのにも活用できるので、ほんのり和の風味とコクのあるパウンドケーキやマドレーヌを作ることもできます。

発酵カフェHaccomachiの開店当時からの人気メニューみそパウンドケーキ

発酵カフェ「漬×麹 Haccomachi」みそパウンドケーキ アイスクリーム添え

味わいだけでなく、淡いクリーム色は料理の色の邪魔をしないので、様々な料理に活用できます。

西京味噌のアレンジレシピをご紹介!

Haccomachiでは、そんな西京味噌をつかったアレンジレシピを掲載中です♩
京都や関西に住んでいても、西京味噌をお雑煮以外にどうやって使ったらいいか分からない…という方も多いのでは?

実はいろいろアレンジしやすい西京味噌。
上手にとり入れて発酵食ライフを楽しんでください!

混ぜるだけ!西京味噌ディップソース

西京味噌を使いきる① 野菜がススム!「白みそヨーグルトソース」「白みそマヨネーズソース」

西京味噌のやさしい甘さとコクを利用することで野菜がとっても食べやすくなりますよ。 西京味噌はヨーグルト、マヨネーズなどの乳製品との相性抜群。
お正月の白味噌を余らせた…なんてときにぜひ試していただきたいレシピです。


西京味噌のコクで濃厚カルボナーラ

隠し味の白味噌が決め手!濃厚なのに生クリームなしの「カルボナーラ」

西京味噌を使うことで、生クリーム不使用でコクたっぷりの濃厚カルボナーラが完成します。
植物由来の西京味噌を使うのでヘルシーなのもうれしいポイントです!


洋風鍋で締めはリゾット!白味噌豆乳鍋

体がぽかぽか温まる クリーミーなスープが美味しい「白みそ豆乳鍋」

アボカドやソーセージなどを使ったお子様にもおすすめの洋風アレンジ鍋。
豆乳と西京味噌のクリーミーなまろやかさがたまらないやさしい味わいです。 〆のリゾットにはチーズをたっぷり入れて。
最後まで美味しいお鍋です。


京都一の傳 本店料理長直伝!西京味噌あん餅

京都一の傳 本店 料理長の和食講座〈vol.7〉お正月に使った西京味噌とお餅でつくる「西京味噌あん餅」

簡単なのにまるで和菓子屋さんで買ったお餅のように本格的なおやつ。
西京味噌のほのかな塩気で、おどろくほど軽く食べられるので、食べすぎ注意です♩

京都一の傳の「西京漬」

Haccomachiを運営する京都一の傳のロングセラー商品「西京漬」にも西京味噌は欠かせません。
味噌床は京都の老舗から特別に取り寄せた西京味噌を中心に、松本酒造の本格派純米料理酒「厨酒」や、澤井醤油本店の「丸大豆2度熟成醤油」、赤穂塩など厳選素材を独自の配合で練り上げています。
二昼夜じっくりと漬け込む本漬け製法で、魚や肉に味噌の旨味がしっかりと染み込んでいます。

京都一の傳秘伝の西京漬「蔵みそ漬」

よろしければぜひこちらも試してみてください。

京都一の傳お取り寄せページ

そのほかの「味噌」についての記事はこちら

味噌からみる発酵食文化(2)味噌汁以外の活用法は?家庭の定番「信州みそ」 「西京漬け」をひも解く 〈vol.1〉 – 京都の白味噌を使った伝統料理