こんにちは!
寒さが増し、温かい鍋物やお味噌汁に入れて毎日かんずりを手放せない編集部の藤井です。
今回は、「漬×麹 Haccomachi」で様々なお料理に使っている発酵調味料[しょっつる]をご紹介します。
「しょっつる」って?
しょっつるとは、秋田県で作られる魚醤で、江戸時代初期から作られていたと言われています。
漢字では[塩魚汁]と書かれ、ハタハタなどの原料となる魚に塩を加え、1年以上の熟成を経て作られます。
しょっつるの製造工程
1.仕込み
ハタハタなど原料となる魚の頭・内臓・尾を取り、魚のおよそ30~40%の食塩をまぶし、均一になるように混ぜ、密封する。
しょっつるの原料魚には主にハタハタが使われる
2.熟成
常温で1年~2年熟成させる。
(熟成により自己消化酵素によりタンパク質の分解が進む)
(塩分濃度が低い部分は腐敗する可能性があるので、濃度に偏りがないよう定期的に混ぜる)
3.精製
分解されなかった骨などを除き、煮沸後濾過し、瓶詰めする。
しょっつるはかつては各家庭で作られおり、原料魚には、元来秋田県で良く水揚げされたクセの少ないハタハタが使われていました。
しかし、1970年代以降はハタハタの漁獲高が減少してきたため、次第にアジやイワシ、サバなど他の魚が使用されるようになりました。
そこで、秋田県の漁師の方々が自主的な全面禁漁を行われ、その結果ハタハタの水揚げ量が回復してきたので、再度ハタハタを主原料としたしょっつる作りが復活してきたそうです。
近年では、ハタハタだけで作られたもの、イワシやサンマ、サバで作られたものなど、様々なしょっつるがあります。好みに合わせて選べるのでうれしいですね。
その味わい方は?
そんなしょっつる、どう使えばよいのでしょうか?
しょっつるには、魚のたんぱく質が分解されたアミノ酸が豊富に含まれています。
中でも旨味成分であるグルタミン酸が多く含まれています。
さらに、甘味のあるアラニンという成分の含有量も多いとされています。
よって、濃厚な旨味がありますが同時に魚介独特の匂いがあるため、まずは火を通すお料理に使ってみましょう!
しょっつる鍋
しょっつるの故郷 秋田にはしょっつる汁やしょっつる鍋といった郷土料理があるそうですが、
まずは手始めに、味噌汁やすまし汁の味噌や薄口しょうゆの代わりにしょっつるを使ってみてはいかがでしょうか?
入れるだけで、ハタハタの濃厚な旨味を楽しむことができます。
また、ラーメンやパスタ、野菜炒めなどの味わいのアクセントに使っても〇です★
ただ、醤油よりも塩分濃度が高いので(一般的な醤油が塩分濃度16%前後なのに対し、魚醤は20%~25%ほど)、少量ずつ加え、味を見ながら使ってみてください。
世界三大魚醤と日本三大魚醤
魚醤は日本だけのものではなく、世界各地で作られてきました。
ちなみに、世界三魚醤と言われているのは、「しょっつる」、「ナンプラー」(タイ)、「ヌクマム」(ベトナム)です。
ナンプラーはカタクチイワシ等の小魚で作られた魚醤です。アンチョビや塩辛を連想させる旨味が特徴的で、タイの焼きそば「パッタイ」などに使われています。
ヌクマムにはアジやイワシなどを使うことが多く、フォーには欠かせない存在ですよね♪
ナンプラーはヌクマムよりも魚に対する塩分の割合が低く、発酵期間が短いため、ナンプラーの方がしょっぱく、ヌクマムの方が香りや色が濃厚です。
日本三大魚醤は「しょっつる」、石川県能登地方の「いしる」、香川県の「いかなご醤油」と言われています。いしるの原料魚は、さば・いわし等で、いかなご醤油の原料魚はいかなごです。
実は、発酵カフェ「漬×麹 Haccomachi」の「甘酒としょっつるのココナッツカレー」は、タイカレーにナンプラーが使われていることにヒントを得て作られました!
「甘酒としょっつるのココナッツカレー」
自家製の米麹甘酒、ココナッツミルク、豆乳などを使ったマイルドな味わいに、コクと深みを与えてくれるのがしょっつるなんです。
他にも「発酵ランチプレート」や「発酵ディナーセット」の“べったら漬けのすり流しスープ”(写真内右下)にも使用。べったら漬けの持つほんのりとした上品な甘さにしょっつるの旨味成分が加わって、なんとも厚みのあるやさしいおいしさに仕上がっています。
「発酵ディナーセット」
「漬×麹 Haccomachi」で使用しているのは、仙葉善治商店さんのしょっつるです。
クセがなく豊かなコクがあって、まさに魚の旨味の宝庫です!
左が濃口醤油、右がしょっつる。琥珀色が美しいですね。
いずれの魚醤も輸入食材店やオンラインショップで手軽に購入可能ですので、お気に入りの魚醤やアレンジ法を見つけてみるのも楽しいですね。
■仙葉善治商店「しょっつる」
内容量:550ml
*インターネット等でお求めいただけます。