発酵を手軽に楽しむためのWEBマガジン

身近な発酵食品のパワーと歴史vol.1「甘酒・納豆・ヨーグルト」

日中の気温も高くなり、夏バテ対策が必要な季節となりました。
発酵食品は夏バテ予防にも活躍することはご存じでしょうか?

暑い日が続くとついつい食べるものの種類が偏りますよね。私もそうめんばかり食べてしまったり、台所に立つのが億劫で冷たい食事ばかり食べてしまいます。実はこれも夏バテの原因。
偏った食事を続けることや、冷たいものを飲みすぎる・食べ過ぎることが自律神経の乱れに繋がります。

暑さによるストレスや、偏った食事によって乱れた腸内環境をケアしてくれるのが発酵食品。 調理が面倒くさくても意外と身近なものが発酵食品だったりするので、生活へ簡単に採り入れることができます。

今回は身近な発酵食品をご紹介。
実はあれもこれも発酵食品!すでに毎日食べているなんて方もいるかもしれません。

甘酒


名前に“酒”とありますが、米と米麹だけで作る甘酒はアルコール度数0%です。

■甘酒の歴史

あたたかい飲み物のイメージが強いですが、実は日本では夏の季語。夏バテ防止に飲まれていたそうですよ。一晩でつくれるので、「一夜酒(いちやざけ/ひとよざけ)」とも呼ばれたのだとか。
米麹の甘酒はアミノ酸やブドウ糖などが含まれ栄養価が高いので、暑い夏を生き抜くために飲まれていたのかもしれませんね。

あま酒の地獄もちかし箱根山(与謝蕪村)

そんな生活を彷彿とさせる与謝蕪村が詠んだ俳句がこちら。
濁った水が沸き上がる箱根の大涌谷を甘酒に見立てた一句です。

江戸時代には天秤棒を担いだ甘酒売りがおり、低所得者でも入手できるよう、幕府が上限価格を設定していたとの資料もあります。歌にもなっていることから甘酒は夏の風物詩として親しまれていたことが感じられますね。
今でも箱根には甘酒茶屋があり、甘酒が売られているそうです。

■甘酒の活用法について

甘酒はあたためても冷やしても美味しいですし、半冷凍してシャーベットにしたり、ジュースとアレンジしても美味しくいただけます!
砂糖の代わりに料理に使ったり、食材を漬け込んでおいたりと今も昔も人の体を支える万能発酵食品。
手間いらずで、色々な方法で食べたり飲んだりできる甘酒は、生活への採り入れやすさナンバーワンですよ。

甘酒を使った簡単ドリンクレシピはコチラから↓




納豆


日本でなじみ深い納豆は、実は海外でも作られていますが、ネバネバしている納豆は日本独自のものです。ビタミンK2がたくさん含まれ、骨の形成を助ける働きがあります。
豊富なビタミンB群が暑さによる体力の低下を防ぐほか、レシチンやミネラルが弱った体にパワーを与え、リフレッシュに繋がります。

■実はNG!な食べ合わせ

「納豆+生卵」といえば定番人気の組み合わせですが
食べ合わせに注意しなければ、せっかくの栄養素が吸収できないのをご存じでしょうか?

納豆に含まれる「ビオチン」という成分は、アトピーや皮膚炎などの改善に効果があるといわれています。美肌の源だそうです♪
納豆と生卵を一緒に食べると、胃の中で卵の白身に含まれる「アビジン」という成分がビオチンと結合し、腸内でビオチンの吸収が妨げられてしまいます。
ですので、納豆と生卵を食べる際は、卵黄だけを入れて食べるのがオススメ。

ちなみに白身の中の成分、アビジンは熱を加えると変性しビオチンへの影響を押さえられるため、半熟卵にするのもいいかもしれないですね。

■納豆と相性のいい食材

卵だけでなく、山芋、オクラ、梅干し、粉チーズ、明太子、しらす、ツナマヨ、お酢など、定番なものから意外なものまで、相性のいい食材がたくさん!
発酵食品であるお酢や粉チーズと合わせると、ダブルで発酵食品を摂れるのもいいですね♪
私が発酵ファスティングにチャレンジした時は、納豆+お酢や、納豆+キムチのセットを食べていました。
特にお酢は納豆のネバネバがふわふわになるのでおすすめ!ぜひ今日のご飯でチャレンジしてみてください!

自分のオリジナルレシピを考えるのも楽しい発酵食品です。

納豆を使ったオープンサンドのレシピはコチラから↓




ヨーグルト


ヨーグルトは乳を乳酸菌で発酵させたもの。
ヨーグルトを作るには、牛乳などの乳に「スターター(種菌)」を入れます。

種菌は桿菌(かんきん)のブルガリア菌(ラクトバチルス・ブルガリカス)と球菌のサーモフィラス菌(ストレプトコッカス・サーモフィラス)が一般的です。ヨーグルトの種類により、ガゼリ菌、アシドフィルス菌、各種ビフィズス菌など他の乳酸菌が添加されます。

■ヨーグルトの歴史

私たちの生活になじみの深いヨーグルト。
ヨーグルトの祖先ともいえる発酵乳は、紀元前数千年前の人間が牧畜をはじめた頃から作られていたそう。動物性たんぱく質やビタミン、ミネラル源を多く含み、おいしい風味が楽しめるヨーグルトは、日常の食糧として利用されていました。

乳酸菌を世界で初めて本格的に調べたのは発酵微生物学の始祖、フランス人のパスツールといわれています。1857年に、酸っぱくなった乳を顕微鏡で調べ、乳の中に微生物が存在することを認め、乳酸酵母と命名しました。

1900年代の始め、そのパスツール研究所の研究員である、
ロシア生まれのノーベル生理学・医学賞を受賞した免疫学者メチニコフが、
「ブルガリアに長寿者が非常に多いのは、ヨーグルトを毎日大量にとることで、動脈硬化を防いでいるからである」と考え、自らヨーグルトを食べ、摂取することを勧めたといわれています。

■「ヨーグルトの日」をご存じですか?

現在5月15日は「ヨーグルトの日」とされていますが、
この日がヨーグルトの日になったのはこのメチニコフの誕生日が5月15日だったことからだそう!
近年ではメリニコフの研究は否定されていますが、ヨーグルトが健康にいい!と世界に広まったきっかけを作ったと言えますね。

良質のたんぱく質、肌の新陳代謝に欠かせないビタミンAやB2、それに腸内環境を改善する乳酸菌の働き、消化吸収の良さから、体内の水分量を適切な状態に整えてくれるといわれてるヨーグルト。美肌への効果も期待できるそうなので、ぜひ積極的に摂り入れたい発酵食品ですね!

ヨーグルトを使ったキーマカレーレシピはコチラから↓




毎日食べられちゃう!意識的に発酵食品を採り入れよう♪


「発酵」というワードを聞くと食べにくいイメージや、健康のために頑張って摂り入れなければいけないイメージがある方もいるかもしれませんが、発酵食品は意外と身近にあるもの。
意識的に1日にひとつは摂り入れよう!といった目標をつくるのも、
発酵食品を食べる習慣づけになるかもしれません。

発酵食品で体調不良知らずの生活を手に入れましょう♪
発酵WEBマガジン「Haccomachi」では、簡単な発酵レシピも多数ご紹介。
ぜひ他の記事もご覧になり、お気に入りのレシピを見つけてみてください!