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【発酵食で腸活】今年こそ、風邪に負けないワタシに!

こんにちは、はっこまち編集部の塩田です。

実は私、冬から春先にかけて必ず風邪をひいてしまう“風邪体質”でした。
学生時代は隣の席の子がセキやくしゃみをし出すと、もれなくうつってしまうし、仕事をするようになると、繁忙期が終わったころや年末休みは必ず風邪で寝込んだりしていました。

ところが、最近気づいたんです。
「ここ数年、インフルエンザはもちろん、発熱したり、咳や鼻水が長引く風邪をひいたことがない!」って。

どうしてだろう、とあれこれ考えてみたところ、思い当たったのが発酵食品。

そういえば、ヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品や、味噌、塩麹、醤油麹、甘酒などの発酵調味料を食事に取り入れるようになってから、なぜか、風邪をひかなくなったなぁと。

もしかしたら、発酵食を食べていると風邪をひきにくくなるのかも!
と、いろいろと調べてみたら……

やはり、そうでした!
今回は「発酵食は、どうも風邪予防にいいらしい」というお話をまとめてみました。

風邪をひきやすいのは、どんなとき?

1年の中で、私たちが風邪をひきやすいタイミングがありますよね。
気温の低下や空気の乾燥で、インフルエンザや風邪が流行している冬から春先にかけて。そして、季節の変わり目など、日中の気温差や気圧の変動が大きい時期も、体に負担がかかり風邪をひきやすくなるタイミングではないでしょうか。

だったら、同時期にみんなが風邪をひいているのかいうと、そうでもないから不思議です。
同じ環境にいるのに、風邪をあまりひかずに元気な人もいます。一方、ふだんは元気なのに、過労や不規則な生活が続くと、風邪を繰り返しひいたりする場合もあります。
よく、風邪をひきやすい状態を「体が弱っている」といったりしますが、そのキーワードが「免疫」です。
体が弱っているとは、つまり「免疫力が低下」している状態なんです。

「免疫」は、病気にならないようにする体のしくみのことです。
種類は大きく分けて2つ。ウイルスや病原菌が体内に侵入したときに最初にまんべんなく反応してくれる「自然免疫」と、自然免疫の攻撃を逃れた特定の菌やウイルスに対応してくれる「獲得免疫」があります。

「獲得免疫」は特定の病気を記憶してかからないようにする働きがあり、インフルエンザのワクチン接種はその作用を活用したものです。

そして、なんと、「自然免疫」は食生活や運動などの生活習慣を改善して向上できるというから、うれしいですね!

免疫力をセルフチェックしてみよう!

こんな症状があれば、免疫力が落ちていると考えられるのだそう。
※チェックが多いほど免疫力が低下しているという目安になります。

□ 口内炎ができた
□ 口周りに吹き出物ができた
□ 体の疲れがなかなか取れない
□ 肌荒れがひどい
□ 食欲がない
□ 切り傷が治りにくい
□ 下痢または便秘気味
□ カラダが冷える
□ 寝つきが悪いまたは寝覚めが悪い
□ 肩こり、頭痛が起こりやすい

免疫力アップのための「腸活」

では、自然免疫を活性化する生活習慣を身につけるためには、いったいどうすればよいのでしょう。

実は、免疫細胞の60~70%は腸内にあります。
私たちが食べた食物を消化・吸収し、排泄してくれるのが腸。食べ物には有害な病原菌やウイルスが付着している危険性があるので、有害物質の体内への侵入を防ぐため、腸には免疫力が備わっている必要があります。
したがって、腸内環境を健康に保つことで、免疫力の低下を防ぐことができるのです。

一般的に、腸内環境を良好な状態にするには、「さまざまな食物をバランスよく食べるのがよい」とされていますが、最近進んできた研究により、さらに気をつけたいポイントがわかってきました。

ちょっと難しいですが、具体的にはこの2つがポイントです。

〇腸内の免疫力をサポートする「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」を増やす。
〇自然免疫のカギ、「NK細胞」を活性化する。

●短鎖脂肪酸とは?
善玉菌が水溶性食物繊維を食べて作り出す、腸内細菌研究で近年注目の物質。
大腸の活動のエネルギー源になったり、腸内の粘膜を整えたりして全身の健康をサポートしています。
不足すると、便秘や下痢になりやすくなり、菌やウイルスに感染しやすくなったり、病気の治りが遅くなったりするといわれています。

●NK細胞とは?
血液やリンパ液中に含まれ、全身の細菌やウイルスを撃退する細胞のこと。
ストレスや老化などによって活性が低下してしまうので、下がらないよう維持することが必要です。
不規則な生活を避けて、よく笑ったり、適度な運動をしたりすることが効果的といわれていますが、近年の実験から、「乳酸菌」を食べると腸内から取り込まれ、NK細胞を活性化させることがわかってきました。

次に、毎日の食生活の中でできる“免疫アップ作戦”をお伝えしていきますね。

短鎖脂肪酸を増やすには、ビフィズス菌&水溶性食物繊維

まず、腸内の短鎖脂肪酸を増やすには、「善玉菌を増やすこと」と、善玉菌のエサとなる「水溶性食物繊維を摂ること」が大切です。

現在、善玉菌のひとつ「ビフィズス菌」が短鎖脂肪酸を生成することがわかってきているので、ビフィズス菌を含むヨーグルトなどを食べて試してみるのもよいでしょう。

また、ビフィズス菌は腸内の常在菌なので、数が増えるよう、エサとなる水溶性食物繊維を食べて、元気にしてあげましょう。

●水溶性食物繊維が多い食品(可食部100g中の含有量)
大麦       6.0g
オートミール  3.2g
アボカド     1.7g
ドライプルーン 3.4g
ひきわり納豆  2.0g
ごぼう      2.3g
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)(文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会報告)より

私の場合は、ご飯に大麦を入れて一緒に炊いて、毎日食べています。水溶性食物繊維は、小豆や大豆などの豆類、ドライフルーツ全般にも多いので、ヨーグルトに混ぜて食べるのも簡単でおすすめですよ。

※水溶性と不溶性の食物繊維の違いと、多く含む食品については、【甘酒で腸活①】ためない身体は甘酒がつくる!?お通じのお悩みにサヨナラ!でも詳しく紹介しているので、参考にしてみてくださいね。

NK細胞を元気にする乳酸菌

NK細胞の活性化に有効としてよく知られている菌に、R-1乳酸菌があります。最近では、伝統的な発酵食品「なれずし」から発見された乳酸菌にNK細胞の活性化効果があることが実証され、話題になりました。

ただし、腸内細菌の構成は人によってさまざまなので、自分に合った乳酸菌は異なるかもしれません。
とはいえ、現在、NK細胞活性化効果が実証されていない乳酸菌でも、腸内環境を改善するために働きかけてくれる作用があるとされているので、免疫力アップに少なからず貢献してくれるはずです。

いろいろと試してみて、「体に合う」と感じた乳酸菌を積極的に摂ってみてはいかがでしょうか。

乳酸菌は、ヨーグルトのほか、ぬか漬け、すぐき(京漬物)、粕漬け、キムチなどの“乳酸発酵した漬物”にも含まれており、これらの食品を毎日の食事に取り入れるのがおすすめです。

また、腸活とは別に、免疫細胞の主成分は「たんぱく質」なので、しっかりと肉、魚、卵、大豆などを食べることもお忘れなく!

私の場合は、納豆+アボカド+キムチ が最強の腸活メニュー。
醤油麹とオリーブオイルで調味すると、おいしいくて週に一度のペースで食べても全然飽きません。
納豆の「たんぱく質」とアボカドの「水溶性食物繊維」と、キムチの「乳酸菌」の相乗効果で、これからも風邪をひきにくい体を維持していこうと思います。

免疫力UP作戦まとめ

・ビフィズス菌、水溶性食物繊維、乳酸菌を積極的にとって、腸内環境を健康に!
・免疫細胞の主成分、たんぱく質をしっかり食べよう。

最後に、風邪をシャットアウトするには、内からの「腸活」とともに、外からの「除菌」も必要です。
外から帰ったらこまめな手洗いとうがい、菌が付着しがちな手で鼻や口まわりをさわらないようにするなどに気をつけて、“風邪知らず体質”を手に入れてくださいね!



●参考文献

腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸のちから (武田薬報web)
腸内細菌のチカラ(武田薬報web)
短鎖脂肪酸に注目!不足すると腸内環境が悪化(朝日新聞Reライフ.net)
腸内細菌にもエサが必要?! 大切な食物繊維(朝日新聞Reライフ.net)
食品に含まれる食物繊維量一覧(大塚製薬)