2011年ごろに人気に火がつき、今では他の調味料と同じくスーパーに並んでいる「塩麹」。 実は2006年に、大分県にある麹屋が江戸時代の文献「本朝食鑑」よりヒントを得て、米麹と塩と水から調味料を作り販売し始めたのが広まるきっかけだったのだとか。
塩がわりに使うだけでなく、例えば、塩麹に肉や魚を漬け込み焼き上げると、それだけで柔らかく旨味たっぷりの奥深い味わいに仕上がります。
それもそのはず。麹には、でんぷんを甘みに分解するアミラーゼ、たんぱく質を旨味に分解するプロテアーゼ、そして脂肪を分解するリパーゼの三大酵素が含まれています。
肉や魚のたんぱく質は熱を加えると固くなる性質をもっているのですが、プロテアーゼのおかげで、柔らかく旨味たっぷりになるということなんですね!
(麹について詳しくは日本の発酵食を支え続ける神秘のカビ「麹」のお話で)
そんな塩麹ですが、おうちでも簡単に手作りできますよ。
材料はもちろん、米麹と塩と水だけ!
今回は乾燥米麹を使って作っていきます。
材料
米麹(乾燥米麹) | 100g |
---|---|
塩 | 30g |
水 | 適量 |
作り方
①米麹と塩を混ぜる。
②麹がちょうど浸かる量の水を入れる。
③常温で保存し、1日1回混ぜる。
(2日目のみ、水かさが減っていたら麹が浸るくらいまで水を足してください)
④米の粒が柔らかくなったら完成。
夏場は1週間程度、冬場は10日程度で出来上がります。(暖かい方が発酵が進みやすいです)
麹の角がとれて、バナナの皮のような甘い匂いがしてきたらよい頃合いです。
左から完成した塩麹、仕込んで2日目、乾燥米麹
炊飯器を使う時短レシピ
炊飯器を使うと5時間で出来上がります♪
材料
米麹(乾燥米麹) | 100g |
---|---|
塩 | 30g |
ぬるま湯 | 250ml |
作り方
①米麹と塩を混ぜ、炊飯器に入れる。
②60℃以下のぬるま湯(250ml)を炊飯器に流し入れる。
③炊飯器を保温状態にし、5時間置く。
(蓋は閉めずに、キッチンペーパーをかけておく。)
※蓋を閉めると温度が上がりすぎてしまうので、発酵しなくなります。
※炊飯器の機種によっては、温度が上がりすぎてしまうものもあるので、要注意!
ヨーグルトメーカーや発酵器をお持ちの方は、ヨーグルトメーカーでつくる塩麹に詳しい作り方をのせています。
温度管理がしやすく、失敗しにくいのでおすすめの方法です。
出来上がりの目安は?
米麹の芯がやわらかくなり、おかゆのようになったら出来上がりです。
色がベージュになり、バナナの皮のような甘い匂いがしてきたらよい頃合い。
写真の左のような質感が完成の目安です。
作った塩麹はどのくらい日持ちする?
完成後は冷蔵庫で保管し、1か月程度を目安に使い切ってください。
保管容器は清潔に保ってくださいね。
失敗を防ぐコツ
❶適正な塩分濃度を確保する
せっかく塩麹を作るのだから、健康のために塩分を控えめに作りたいと思う方も多いのでは?
ですが、塩を少なくしすぎるとうまく発酵せず、腐敗が進んでしまう可能性が高まってしまいます。
塩分濃度の目安は13%。これを下回らないように塩と水の量を調整するのが失敗しないコツのひとつです。
❷麹を水分で浸す
もうひとつのコツは水の量。
はじめは麹がちょうどひたひたに浸かるくらいの量を入れるのがポイントです。
多すぎるとこちらも塩分濃度が下がり、腐敗の原因となります。
翌日になると水のかさが減るので、1日目と同じくらいになるよう水を足すことも、きちんと発酵させるために必要です。水分が不足してしまうと発酵が進む箇所と進まない箇所が生まれ、ムラができてしまうのでご注意を。
❸混ぜることで発酵の進みを均一に
1日1回混ぜることで、発酵を均一にすることができます。
均一に発酵させることで、発酵が促されやすくなるので、忘れず毎日混ぜるようにしましょう。
❹清潔な調理器具を
とにかく清潔にして、雑菌が入らないようにすることも重要です。
作るときに使う調理器具は、煮沸するか、アルコールでしっかり消毒をしたものをご使用ください。
これって失敗?
●なかなか柔らかくならない、米麹が硬いまま
冬場など、室温が低い場合や古い米麹を使った場合は、発酵の進みが遅くなる場合があります。
失敗ではないので、もうしばらく日数を置いてください。
60度くらいのお湯で湯煎してあたため、発酵を促してあげるのもよいと思います。(60度以上になると麹菌が死滅してしまうので注意)
●アルコール臭がする
発酵が進む中で、アルコール臭がする場合がありますが、基本的にはこちらも失敗ではありません。
アルコールの匂いは酵母菌によるもの。酵母菌は糖を分解する際にアルコールと炭酸ガスを作るので、発酵が進んだ塩麹からまれにアルコールの匂いがすることがあるのです。
問題なく使えますが、もし匂いが気になる場合は、塩麹を使う際に加熱調理をしてアルコールを飛ばしましょう。
●白いカビのようなものがある
白いのは産膜酵母という酵母菌が繁殖したもの。
こちらも基本的には問題がありません。
ただし、麹菌の発酵とは別の発酵が進んでいるので、白い部分は取り除いておきましょう。
もし白ではなく、赤やグレー、緑など、明らかなカビが生えている場合は、発酵ではなく腐敗が進んでいるので、廃棄することをおすすめします。
塩麹を活用!手軽で美味しいレシピをご紹介
使う米麹や塩の種類で味わいが変わってくるので、好みの味に仕上げることができる手作り塩麹。
せっかく作ったからには、色んな食べ方で最大限楽しみたいですよね。
ここからはHaccomachiでご紹介しているレシピをご紹介します!
豚肩ロースがこんなに柔らかく?!具沢山塩麹ポトフ
豚肉と野菜の旨味がおいしい「塩麹豚とトロトロ野菜の具だくさんポトフ」塊肉が驚くほど柔らかくなり、塩麹パワーを実感する一品。
塩麹で漬け込んだ豚を野菜と煮込めばスープも旨味たっぷりに仕上がります。
酢と塩麹をマヨネーズ代わりに!ヘルシーポテトサラダ
作り置きにも!マヨネーズを使わなくてもおいしい「れんこんとツナの和風ポテトサラダ」塩麹を使うことでマヨネーズなしでコクと旨味が感じられます。
和の食材との相性も抜群!ヘルシーで罪悪感の少ないポテトサラダです。
旨味が凝縮!きのこの塩麹オイル漬け
作り置きで菌活◎発酵食品で常備菜「きのこの塩麹オイル漬け」きのこと塩麹の旨味がぎゅっと詰まったオイルは、そのまま副菜として食べるだけでなく、パスタソースにしたり、他の料理にオイルだけ使う、なんて使い方もできます。
サラダのドレッシング代わりにつかったり、お肉やお魚の上にかけるのもおすすめですよ!