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「ヨーグルト」ってなぜ体にいいの?おすすめの食べ方やタイミングとは

朝ごはんやおやつで食べたり、料理に入れて使ったりと、私たちにとって身近な存在のヨーグルト。

免疫力を高められる食べ物として期待され、腸活にも人気の食材ですよね。コロナ禍で特集を組まれることもしばしば。 では、数ある発酵食品の中でもヨーグルトが話題に上がることが多いのは一体なぜでしょうか?

それには、ヨーグルトに含まれる様々な種類の‟乳酸菌“が関係しています。

一口メモ
「乳酸菌」とは、炭水化物(糖)を食べ、乳酸を出す細菌の総称です。自然界のあらゆるところに生息しており、これまでにおよそ400種類もの乳酸菌が発見されています。ヨーグルトを筆頭に、チーズや漬物、味噌や醤油などにも欠かせません。
乳酸発酵することで、保存性が高まったり、酸味など独特の風味が生まれ、旨味やコクが増したり、もともとの食材より消化吸収しやすくなったりすると言われています。
私たちの腸内にも存在している乳酸菌は、「善玉菌」に属し、人の体にとってプラスの働きをもたらす細菌のひとつです。

乳酸菌がカギ!免疫機能活性化でウイルスに負けない体に

腸内環境を整える上で欠かせない食材のひとつである発酵食品。

その中でも、【発酵食で腸活】今年こそ、風邪に負けないワタシに!の記事でもお話した通り、ヨーグルトには、腸内の免疫力をサポートする「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」を増やすビフィズス菌や、自然免疫のカギであるNK細胞を活性化させる乳酸菌が含まれるものがあります。

特にNK細胞は、私たちに元から備わった「自然免疫」という、ウイルスや病原菌が体内に侵入したときに真っ先に駆けつけてやっつける免疫反応に必要不可欠な細胞。その細胞の餌になる乳酸菌は、風邪やウイルス予防のために積極的に摂りたい栄養素といえます。

こうした背景から、数ある発酵食品の中でも免疫アップといえば…と紹介されることが多いんですね。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌の種類は数多くあり、それぞれ特徴が違います。
例えば、R-1乳酸菌は先ほどのNK細胞の活性化に有効だという試験結果が出ていたり、l-92乳酸菌やKW乳酸菌は、免疫バランスを調整することでアレルギー症状を軽減し、花粉症を和らげるのではないかと期待されています。

ただし、すべてのヨーグルトにビフィズス菌やNK細胞活性化効果、抗アレルギー効果が実証されている乳酸菌が入っているわけではないので、味わいだけでなく菌の種類によって選ぶのもよいかもしれないですね。

私たちの腸内にはおよそ100種類もの菌が約100兆個も常在していて、さらに、人によって持っている菌の種類や割合が違うと言われています。

いくらヨーグルトが身体にいい、アレルギーや花粉症に効くと謳われていても、自分の腸内にいる菌と違うものだと、思っている効果が得られないこともあるかもしれません。 効果を過信しすぎず、色々な種類の乳酸菌を継続的に体内に取り入れることがおすすめです。

三大栄養素やカルシウムも!ヨーグルトの栄養素

ヨーグルトには乳酸菌のほかにも嬉しい栄養素がたくさん。

日本で一般的なヨーグルトのもととなる牛乳は、生命維持に不可欠なたんぱく質、脂質、炭水化物という三大栄養素を含む、準完全栄養食。 カルシウムなどのミネラル、ビタミンA、ビタミンB2なども豊富に含まれています。

その中でもたんぱく質とカルシウムは、乳酸発酵することで、それぞれペプチドやアミノ酸、乳酸カルシウムといった消化・吸収されやすい形になるのだそう。日本人にとって不足しがちなカルシウムが吸収されやすくなるのは嬉しいポイントですね。

牛乳を飲むとおなかの調子を崩す方の中には、ヨーグルトなら大丈夫という方もいらっしゃいます。 それは、乳酸発酵によって乳糖が分解されるからだそうですよ。

ヨーグルトを食べる“おすすめのタイミング”って?

そんな栄養たっぷりのヨーグルト。
せっかく食べるのだから、食べるタイミングや食べ方を工夫したいという方も多いのでは?

結論からいうと、ヨーグルトには基本的にどの時間帯に食べなきゃいけない、というのはありません。 ただし、目的によって、おすすめのタイミングや時間は存在します。

風邪、花粉症、アレルギー対策をしたい方

空腹時に食べると胃酸の影響で乳酸菌やビフィズス菌が死滅してしまう可能性が高いので、食中や食後に食べるのがおすすめ。

ダイエットのために食べるという方

食物中の脂質や糖質を分解するビタミンB2の働きを期待する場合は食前、便秘解消を目的とする場合は胃酸の影響を受けにくい食後がおすすめです。

腸の動きに合わせて、夜に食べるのもおすすめです。

なんでも、腸の動きが活発になるのは起床から15~19時間後と言われており、朝7時に起きる人であれば22時~2時と、ちょうど寝る前~寝ている間が該当します。ですので、晩御飯にヨーグルトを追加することで、腸の働きを後押しすることができるかもしれません。

ただし、寝る直前に食べるのは胃に負担がかかるため、寝る3時間前くらいまでに食べておくのがよいでしょう。

一緒に食べて効果的に♩おすすめの食べ方・組み合わせ

ヨーグルトは、腸でよい働きをしてくれる細菌や酵母を直接腸に届けてくれるプロバイオティクス食材です。
プロバイオティクス食材は、食物繊維やオリゴ糖といった、腸内細菌の餌となるプレバイオティクス食材と一緒に摂ることで、より効果的に腸内環境を整えるのに役立つと考えられています。(プロバイオティクス食材とプレバイオティクス食材を組み合わせて摂ることをシンバイオティクスといいます)

おすすめの組み合わせ

ブルーベリーやイチゴ、バナナやキウイフルーツなど食物繊維の多いフルーツと食べるのがおすすめです。
フルーツは陰性食品といって、食べると体を冷やす食べ物なので、フルーツだけより、プラスで甘酒やはちみつを一緒に摂ったり、ヨーグルトを室温で戻して食べるのがおすすめです。生姜など、体を温める効果のある食べ物をトッピングするのもいいですね。

■米麹甘酒+フルーツ

食物繊維とオリゴ糖が豊富なフルーツと、同じくオリゴ糖が含まれる米麹甘酒をダブルで入れる組み合わせ。
米麹甘酒には「ペプチド」というビフィズス菌を増やす効果があると言われる成分が含まれているんです。
甘酒の麹の風味が苦手な方も、ヨーグルトと合わせることで食べやすくなりますよ。

■はちみつ+フルーツ

はちみつとフルーツも食物繊維とオリゴ糖を一緒に摂れる鉄板の組み合わせ。
はちみつには、オリゴ糖の他、ミネラルも多く含まれ、栄養価が高くおすすめです。 無糖のヨーグルトが食べにくいという方も、はちみつを入れることで甘さが追加され、とっても食べやすくなりますよね。
ただし、はちみつのかけすぎには気を付けましょう。

ヨーグルトおすすめレシピ

Haccomachiでは過去にいろいろなヨーグルトレシピを紹介しています。 こちらもぜひお試しください。

発酵食品たっぷりおやつ。「甘酒入りクリームチーズケーキ」+「醤油ソース」 スパイスの香りが食欲をそそる!肉なしヘルシー サバとごぼうのキーマカレー 西京味噌を使いきる① 野菜がススム!「白みそヨーグルトソース」「白みそマヨネーズソース」

効果やいかに?!実際に試してみました

そこで、万年便秘がちの私は、2週間、毎晩夕食の後にヨーグルトを摂ることにしてみました。
最初の1週間は1種類を。次の週は3種類を日替わりで毎日順番に食べる形で試してみたところ、以下のような変化がありました。

■1週間目

3日目ごろから、朝になるとトイレに行きたくなるようになりました。
と言っても、まだ数日では固い便でお通じがよくなった!と手放しで言えるほど改善された感じではありません。
6日目はすっきり出た、という感じで久々に爽快感がありました。

■2週間目

引き続き、種類を増やしてチャレンジしましたが、1種類のときと劇的に変わった、とまではいかない感じです。
変わらず朝になると便意があり、トイレに行く習慣がつきました。
9日目、夕食以外にも朝昼で200gほどヨーグルトを食べました。量が多かったのか、おなかがゴロゴロしてしまい、逆におなかの調子が崩れてしまいました。

【試してみて】

ヨーグルトを食べることでお通じを改善し、ダイエットもできればいいなと思っていたのですが、さすがに2週間で減量という訳にはいきませんでした…。

ですが、便意が来るようになったり、量は少なかったですが毎日便がでるようになりました。(今までは2,3日に一度くらいの頻度でした)
食べすぎるとおなかの調子を崩すなど、私はヨーグルトが体質にすごく合う訳ではなかったので、ヨーグルトだけでなく、お漬物や味噌、甘酒など、他の乳酸菌や酵素が摂れる発酵食品を織り交ぜ、“適量を継続して食べる”というのがよさそうです!

自分に合う発酵食品を

みなさんもぜひいろいろなヨーグルトや発酵食品を試してみて、自分に合う発酵食品や食べるタイミングなどを見つけてみてください!

今回私は便秘改善を掲げてチャレンジしてみましたが、花粉が多いこの季節、継続的にヨーグルトや発酵食品を摂ることで、アレルギー症状も少しでも楽になると嬉しいですよね。


参考サイト:
■R-1乳酸菌
株式会社 明治 明治ヨーグルトライブラリー 乳酸菌研究最前線 乳酸菌1073R-1株について 乳酸菌1073R-1株試験結果(1)
https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/report/1073r1/03/01/
■l-92乳酸菌
アサヒ飲料の研究開発 STUDY NOTEなるほど!がいっぱい 研究ノート Vol.4
乳酸菌を科学する!~研究開発担当者インタビュー~
https://www.asahiinryo.co.jp/rd/note/index_02.html
■KW乳酸菌
L. paracasei KW3110 Report 乳酸菌Lactobacillus paracasei KW3110 研究レポート「乳酸菌 ラクトバチルス パラカゼイKW3110」
https://health.kirin.co.jp/kw/index.html
■ヨーグルトの成分
日本食品標準成分表2015年版(七訂) 第2章 日本食品標準成分表
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/02/16/1365343_1-0213r9.pdf
■牛乳の栄養成分
一般財団法人 Jミルク 牛乳のはなし 牛乳の栄養成分
https://www.j-milk.jp/findnew/chapter2/0402.html
■ヨーグルトの栄養成分
株式会社明治 明治ヨーグルトライブラリー ヨーグルトの基礎知識 ヨーグルトの成分 ヨーグルトの栄養分
https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/laboratory/yogurt/02/02/
■牛乳を飲むとおなかの調子が悪くなるのはなぜか
一般財団法人 日本乳業協会 乳の知識と情報 詳細資料 乳と乳製品のQ&A
https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_001_477/