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今こそ知りたい「納豆」:起源は?ほんとに体にいい?効果的な食べ方ってあるの?

新型コロナウイルスが広まり始めたころ、テレビでよく見かけた“「納豆」が免疫力アップに効く”という言葉。

さすがにこの言葉通り納豆を食べれば安心というわけにはいきませんが、納豆には体を整えるためにうれしい栄養素が含まれているというのは皆さんもよくご存じかと思います。

では具体的に「納豆」って体にどういいの?
そんな疑問を、納豆に含まれている栄養素などからひも解いてみました。

納豆ってどうやって生まれたの?

みなさんはこの納豆がどうやって生まれたかはご存じですか?

納豆の起源にはいろいろな説があります。
縄文時代の終わりごろにはすでに納豆のような食べ物があったという説、弥生時代に藁や枯草が敷かれた床に煮た豆がいくつか落ち自然に発酵したのが始まりという説、聖徳太子が発見したという説……。

どれが正解なのかは定かではありませんが、日本人が昔から食べている“豆”から出来るのですから、相当長い付き合いであることは間違いありませんね。

●納豆の歴史についてはこちらでも詳しくお話しております。
始まりは聖徳太子?!納豆誕生のきっかけって?

日本のスーパーフード「納豆」って?

納豆とは、よく蒸した大豆を納豆菌によって発酵させたもの。
納豆菌は増殖する際に大豆のたんぱく質を分解し私たちの体に吸収されやすくしてくれるだけでなく、ビタミンや酵素をつくり出し、さらに栄養豊富な食べ物にしてくれます。

■栄養素がバランスよく摂れるオールラウンダー

まず特筆すべき点は、納豆には私たちが健康な体を維持するために必要だとされる5大栄養素がすべて含まれているということ。5大栄養素とは、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの5つです。

納豆は「良質なたんぱく質」が豊富に含まれる「畑の肉」だと言われるのを耳にされたことはありますか?

含まれるたんぱく質の量だけでいうと他のたんぱく源になる肉や魚の平均くらいなのですが、なんといっても、納豆に含まれるのは人が体内で合成できない9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んだたんぱく質。体内で活用されやすい、でも自分では作れない、そんなたんぱく質がバランスよく摂れるので、「畑の肉」と呼ばれるようになったのもうなずけますね。

■生活習慣病の予防や肌の調子を整える効果が期待できる栄養素も

そのほかにも、納豆には以下のようなさまざまな栄養素が含まれています。

・コレステロールや中性脂肪など、血液中の余分な脂質を減らす
→「大豆サポニン」
・悪玉コレステロール値を下げる働きのある
→「リノール酸
・女性ホルモンと似た働きをする女性にうれしい栄養素
→「イソフラボン」
・骨を丈夫にし、骨粗鬆症を防止する働きのある
→「ビタミンK2

さらに発酵の段階で、さらに以下のような成分が生成されます。

・血栓を溶かし、生活習慣病の予防に有効とされる納豆独自の酵素
→「ナットウキナーゼ」
・抗菌作用、抗ウイルス作用、がんを自殺化させるアポトーシス作用があるとされる
→「ジピコリン酸」
・カルシウムやミネラルの吸収を促進するネバネバの主成分
→「ポリグルタミン酸」

このようなさまざま栄養素を一度に摂れるというのが納豆のすごいところですね。

■腸内環境を整えることで免疫力を高める

そして、もう一つ注目したいのが、納豆には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のふたつの種類の食物繊維が含まれているということ。

水溶性食物繊維は、粘着性があり胃腸内をゆっくりと移動するため、食べすぎが抑制でき、糖質の吸収をおだやかにしてくれます。また、不溶性食物繊維には、水分を吸収してふくらみ便のかさを増やすという特性が。
どちらも善玉菌のエサになるので整腸作用も期待できます。

腸内環境を活性化させる食物繊維と納豆菌を一緒に摂れる、というのが納豆の強み。
納豆菌は熱に強く壊れにくく胃酸に負けず腸まで届きやすいため、腸内環境を整えるのにもってこいなんです。

そんな強い納豆菌ですが、善玉菌は食品から摂ると腸内では1日ほどしか定着しないという性質をもつので、“毎日少しずつ摂る”というのが大切です。

胃腸の機能が低下していると風邪をひきやすくなるので、毎日の食事に納豆や発酵食品を積極的にとり入れ腸内環境を整えるというのは、風邪や感染症の予防にも役立ちそうですね!

●納豆の栄養素や納豆菌についてはこちらでも詳しくお話しております。
最強の発酵食品!納豆が持つパワーとは?

いつ食べるのが効果的?

毎日少しずつ摂るのがおすすめな納豆。
では、どのタイミングに食べるのが効果的なのでしょうか?

一般的によいといわれているのは夜。
腸は人が寝ている間に活発に働くので、夜に食べることでその働きを促進することができるんです。 また、ナットウキナーゼという酵素は食べてから4時間後くらいに活性化するので、夕食に納豆を食べることで、ちょうど寝ている間に血の巡りを整えてくれる効果が期待できるのだとか。

ただし、夜じゃなきゃ効果がない!というわけではありません。
先ほどお伝えしたように良質なたんぱく質が摂れる納豆は、朝に食べるのもおすすめ。
その日一日動くための貴重なエネルギー源になってくれますよ。

納豆にはオリゴ糖、食物繊維が豊富に含まれるので、お通じをよくする働きも。
さらに納豆菌はたくさんの消化酵素をつくり出すので、一緒に食べたものの消化を助ける働きがあるというのだからうれしいですね。

食べるタイミングを気にするよりも、自分にとって食べやすいタイミングで「継続して食べる」というのが納豆の栄養素を最大限に取り入れる秘訣かもしれません。

小粒、大粒、ひきわり……種類による違いってあるの?

スーパーに並ぶパックの納豆だけでもたくさんの種類がありますよね。
種類によって味や栄養素の違いはあるのでしょうか?

まず、大豆の粒の大きさによって種類があり、大粒になればなるほど大豆の味わいが強く、皮の部分が多いほど食物繊維が豊富です。
逆に小粒になればなるほど発酵が進みやすいため発酵食品としての栄養価が高くなります。
特にひきわりにすると一粒あたりの表面積が大きくなるため、納豆菌が多く付着し、ビタミンやミネラルが豊富な納豆に仕上がるそうですよ。

他にも、一般的な黄大豆で作られる納豆以外に、青大豆や黒豆で作られる納豆や、昔ながらのわらや木で包んで作る納豆などもあります。
豆の種類でいえば、例えば青大豆だと甘味が、黒豆だと豆のコク深い旨味がより感じられるなど、それぞれ種類により味わいが異なります。
黒豆の納豆はわさびと塩でいただくのも美味しいですよ★

ぜひいろいろ試してお好みの納豆を見つけてみてください!

●納豆の種類についてはこちらの記事でも詳しくお話しています。
大粒派?小粒派?原料は?大豆で知る納豆アレコレ

納豆を使ったレシピをご紹介!

もともと栄養価の高い納豆ですが、ちょい足しする食材でさらにバランスよく栄養素を摂ることが出来るようになります。おすすめの“ちょい足しアイテム”はこちら。

①ネギ

ネギに含まれる「硫化アリル」という成分が納豆に含まれるビタミンB1の吸収を高めてくれます。「硫化アリル」はニラやにんにくにも含まれる栄養素なのでこちらと合わせるのもおすすめです。

②キムチ

キムチには細菌やウイルスを撃退するNK細胞を活性化させる「乳酸菌」が含まれているので、合わせることでより高い整腸作用が期待できます。
納豆とキムチは味の相性もよく、さらに味を変化させやすいのでいつもの味わいから変化させたいときにぴったりですね。納豆+キムチにチーズを加えるのもおすすめですよ♪

③酢

1パックに小さじ1くらい加えよく混ぜるとネバネバの食感がふわふわに。
独特の香りと粘りが軽減するので、納豆があまり得意ではないという方におすすめの組み合わせです。 さらに梅干しを加えて冷ややっこに乗せて食べるなど、夏場にもさっぱりと食べやすいアレンジも。

●以下の記事で他にもおすすめの組み合わせをご紹介しています。
普段の味をグレードアップ!納豆アレンジレシピ

そのままの納豆に飽きたら…海鮮と合わせて丼に、チーズと一緒にトーストに♪Haccomachiでは納豆をつかったレシピも公開しております。

納豆で主役級のメニューを!醤油麹香る「納豆とサーモンのねばねば丼」 ヘルシーなのにボリューム満点!納豆&ツナ&アボカドの「発酵オープンサンド」 納豆+野菜で腸内大掃除!切って盛るだけ「納豆和風コブサラダ」

私たちの身近にあるスーパーフード「納豆」。
スーパーフードといわれる通り様々な栄養素がバランスよく含まれていることが分かりました。
少しずつ継続して取ることで、免疫力を高めたり、生活習慣病の予防に役立てたいですね。

参考サイト:
全国納豆協同組合連合連合会 納豆PRセンター 納豆百科事典
http://www.natto.or.jp/hyakka/index.html
大塚製薬株式会社 健康と病気 食物繊維を摂ろう!
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/
株式会社ヤマダフーズ まめまめ図書室
https://www.yamadafoods.co.jp/library/
森永製菓のプロテインのポータルサイト かんたん、わかる!プロテインの教科書 納豆のタンパク質含有量と納豆活用レシピを紹介!
https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=124&category=health
腸内細菌と健康(e-ヘルスネット情報提供、厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html