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コーヒーって発酵食品?手元に届くまでの物語を知って、コーヒーをもっと楽しもう!

様々なシーンで私たちが飲むコーヒー。
仕事中頭をスッキリさせるために、友達とのおしゃべりのお供に、食後のひとときに…。毎日コーヒーが欠かせない!という方もいるのではないでしょうか。

実はコーヒーが作られる工程にも発酵の力が働いているってご存じでしたか?
今回はコーヒーにまつわる発酵のお話をさせていただきます♪

そもそも発酵とは?

発酵とは、「微生物の活動によって物質が変化し、人間にとって有益なものをつくること」。
例えば納豆は“納豆菌”が働き、たんぱく質を分解しておいしさの成分アミノ酸を生成しています。また、ヨーグルトは“乳酸菌”が働き、乳に含まれる糖分(乳糖)を分解して、乳酸という酸をつくり出しヨーグルトのもつさわやかな酸味を生みます。

このようにうま味や保存性が高まったり、微生物の代謝やつくり出す酵素によって、食品の成分・味・香り・色などを変化させるのが、「発酵」の特徴です。

そう聞くと「コーヒーが発酵?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、 実はコーヒーが農園から私たちの手元に届くまでの、製造工程で発酵の力が活かされています。

納豆についての記事はコチラから↓







コーヒーの製造工程って?手元に届くまでの流れ


実は、長い時間をかけてつくられている1杯のコーヒー。食後に飲んでいるあの一杯が、どのようにして届けられているか知っていますか?
コーヒーの製造工程はいろいろな分け方がありますが、

・栽培
・収穫
・精製(せいせい)
・運搬
・ブレンド
・焙煎(ばいせん)
・粉砕

以上のように分けられます。


■栽培
コーヒー豆はコーヒーノキという植物の果実から種を取り出し、焙煎したものです。
コーヒーノキはアジア、アフリカの熱帯地域を中心に栽培されています。
約40種があるとされますが、なかでもアラビアコーヒーと呼ばれるアラビカ種(Coffea arabica)が最も有名で、豆の品質もよく、世界の熱帯各地で栽培されています。

■収穫
コーヒーノキは、最初にジャスミンのような香りの真っ白な花を咲かせます。花がしぼんだあとに、緑色の楕円形の実ができ、完熟すると真っ赤になります。
この完熟した実の見た目や大きさがさくらんぼに似ていることから、「コーヒーチェリー」と呼ばれているんですよ。

コーヒー豆というのは、コーヒーノキの実の中に入っている種子のこと。
そう、実はコーヒー豆は、“豆”ではないのです!実は真っ赤な実の中から取り出されている“種子”だったんですね。

■精製
収穫したコーヒーノキの実は緑色。この緑色の実から、コーヒー豆になる種子を取り除いていきます。
この作業は「精選」と呼ばれ、ここで発酵のパワーが働いているんです!

どのように発酵のパワーが働いているかは、後程ご説明いたします♪

■運搬
スーパーなどでお米を買うとき、パッケージに、「コシヒカリ1等米」のような言葉が書かれているのを見たことがあるでしょうか?
一定の基準を満たす等級が書かれていると安心感がありますよね。
コーヒーにも産地情報や、等級・格付けが、取引をする際に決まっています。

多くの農園では、運搬をする前に農園でカップテスト(輸出基準に満たしているかのテスト)があり、日本に輸入されたあともカップテストが行われます。基準を満たしたコーヒー豆のみが取引されるんですね。

■ブレンド
「ブレンドコーヒー」という言葉を聞いたことはありますか?
喫茶店やカフェで飲んだことがある方も多いはず。ブレンドとは複数の異なる種類のコーヒー豆を組み合わせて、独自の味わいをつくることです。
生産国や精製方法などによって味は異なりますので、そのお店独自のオリジナルブレンドを作ることが多いのです。ブレンドコーヒーを製造する場合は、焙煎の前にブレンドを行います。

■焙煎
輸入されたコーヒー豆はそれぞれの焙煎所へと届けられます。
焙煎前のコーヒー豆は緑色をしていて、コーヒーの香ばしさや香りはまだありません。
焙煎によって熱を加えることで、アミノ酸や糖類が化学反応を起こして茶色がかった色味に変化し、苦味や甘み、香りが出てきます。同じコーヒー豆でも、焙煎度合によってコーヒーの味は大きく変わります。
まったく同じコーヒー豆を輸入しても各焙煎所によって様々な味が作り出され、いろんな焙煎所でいろんな味が楽しめる、コーヒーの素敵な特徴ですね…!

■粉砕
焙煎されたコーヒー豆は、お湯やお水で抽出しやすくするために粉砕されます。
グラインドとも呼ばれ、「コーヒーミル」や「グラインダー」という機械で粉砕します。

挽いた後の粒の大きさによって「極細挽き」、「細挽き」、「中細挽き」、「中挽き」、「粗挽き」に分類されます。
挽いたコーヒー豆の粒の大きさのことを粒度(りゅうど)といい、粒度が小さい状態(細挽き)になるほど表面積が広くなり、お湯と接触する面積が拡大するため、色も味もよく抽出されます。

こうして粉状になったコーヒー豆を使い、コーヒーを淹れる工程にたどり着きます。

発酵の力が使われているコーヒー豆の「精選」ってどんな作業?

さて、そんなコーヒーの製造工程のひとつ「精選」で発酵のパワーが使われています。

「精選」とは、コーヒーノキから収穫した完熟した実(コーヒーチェリー)から、コーヒー豆となる中の種子の部分を取り除くこと。
精選方法には「ナチュラル(非水洗処理方法)」と「ウォッシュド(水洗処理方式)」の2つの方法が代表的です。この他にも地域によって違う精製方法があったり、地方によって順序や細かい処理の違いがあります。

■ナチュラル(非水洗処理方法)


【収穫→コーヒーの実をそのまま乾燥→寝かせる→脱殻機にかける→生豆】

特徴
・大量の水を使用しないので環境に優しい
・独特の甘み・風味が出やすい
・気候に左右されやすい。
・異物が混入し欠点豆が増えやすい
・クリーンさ、均一さに欠ける

ブラジルやエチオピアなどアフリカ各地でよく用いられるのが「ナチュラル」です。
収穫した果実を天日干しして乾燥させたのち脱穀することで、果肉とミューシレージ(種の周りの粘着質の部分)を取り除きます。
乾燥するときに果実の成分が種子に移るため、チェリーやナッツのような風味・甘みが生じます。

■ウォッシュド(水洗処理方式)


【収穫→機械で外皮と果肉を取り除く→ミューシレージ(種の周りの粘着質の部分)の除去→乾燥→寝かせる→脱殻機にかける→生豆】

特徴
・クリーン、均一性がある
・欠点豆が少なく質が高い
・水を大量に使用するため、設備が整った地域でないと難しい
・排水による汚染の可能性がある

大量の水を使い、粒の揃った綺麗な豆が精製しやすい「ウォッシュド」。生産国の7割がこの精製方法を採用しています。「ウォッシュド」のコーヒーはナチュラルと違い、クリーンな酸味があります。
ミューシレージというコーヒーノキの実の中の、粘着質の部分を除去する際に発酵の力が使われています。

「ウォッシュド」の処理では、パルパーという機械で皮とパルプ質を剥いだ実を、発酵槽という大きな水槽に半日~1日程度水に漬けます。時間がたつと豆についたミューシレージが自然発酵して除去されます。
ウォッシュドは手間がかかりますが、工程の中で未熟、過熟な実・豆をある程度取り除くことができます。

ウォッシュドの中でも、ミューシレージの除去の仕方などにより以下などに分類されます。
・フルウォッシュド:果肉を除去し、発酵槽につけて発酵した後に再度水で洗い除去
・セミウォッシュド(パルプドナチュラル,ハニープロセス):果肉を除去しミューシレージを残したまま乾燥させる

工程にはわずかな違いが数多くあり、それが各地のコーヒー生産の歴史でもあります。
それぞれの精製方法によって味が変化するのも、コーヒーの面白いところですね!

コーヒーが私たちの手元に届くまでには、たくさんの物語があります


コーヒーノキを植えてから成木になるまでに3年。
そこから収穫をし、数々の製造工程を経て、やっと1杯のコーヒーになります。
しかも豆の種類・精製方法、焙煎方法など様々な要素が加わった後に完成される、唯一無二の味であるかと思うと、目の前の一杯もすごく素敵に感じられませんか?

そしてそんなコーヒーが手元に届くまでにも、しっかり発酵の力が携わっている工程があるんです!
人の生活をいろんなところで支えてくれている力だなと心から感じます。

コーヒーを召し上がる際は、そんなコーヒーの物語をぜひ思い出してみてくださいね。

はっこまち編集部/カメラマン

スギヤマ

滋賀県出身。好きな発酵食品はヨーグルト。好きなものは、写真と旅行と映画とロック。BUMP OF CHIKENを追い続けて数十年。オススメの映画は「メメント」です。

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