世界にはたくさんのお漬物があります。
ぬか床に漬け込んだぬか漬け、酢に漬け込んだピクルス、甘酒に漬け込んだべったら漬けなど、その作り方も漬け込み方も様々。
今回はその中でも、キャベツを乳酸発酵させて作る「ザワークラウト」をご紹介します!
キャベツと塩だけで作られる「ザワークラウト」
ザワークラウトはキャベツの葉にもともとついている乳酸菌を塩分で発酵させた、ヨーロッパ(特にドイツ)で広く親しまれているお漬物。
日本にいるとそこまでお目にかかる機会はないかもしれませんが、ホットドッグのソーセージと一緒に挟んであったり、肉料理の付け合わせにもよく使われています。
イーストを使って発酵させて作るパンや麹を使って発酵させる味噌や醤油などと違い、キャベツに住んでいる微生物そのものの力で発酵が進むのが特徴です。酢などの酸っぱさとは違い、キャベツ由来の乳酸菌が持つ爽やかな酸味が味わえます。
日本では「乳酸キャベツ」や「発酵キャベツ」の名で呼ばれることも。
テレビなどではダイエットや健康にいいと言われていますね。
ザワークラウトにはうれしい栄養素がたくさん!
なぜダイエットや健康にいいと言われるのかというと、ヨーグルトやキムチに匹敵する植物性乳酸菌がたっぷり摂取できる、また、キャベツの栄養分を効率よく摂れる食べ物だからなんです。
キャベツには、食物繊維や、ビタミンC・ビタミンU(キャベジン)・ビタミンBなどのビタミン類が豊富に含まれます。
特にビタミンCは熱に弱く加熱すると栄養分が壊れてしまうのですが、ザワークラウトは生の状態で発酵させて作るため、効率的に栄養素を摂ることが出来ます。
なんでも昔は長い航海に出る際に、壊血病(ビタミンCが欠乏することで発症する)予防にザワークラウトが食べられていたんだとか。
また、キャベツにはエネルギー代謝を上げ、免疫細胞を増やす効果が期待されるビタミンB群も含まれています。
整腸作用、免疫を活性化させる作用のある乳酸菌と、キャベツのビタミンを合わせて摂ることの出来るザワークラウトを継続的に摂ることで、からだにうれしい様々な効果が期待できそうですね。
ではキャベツと塩を用意して、ザワークラウトを作ってみましょう!
材料
キャベツ | 1.5kg |
---|---|
塩 | 30g(キャベツの総重量の2%くらいが目安) |
作り方
(1)
調理に使うガラス瓶、ボウル、まな板、包丁は煮沸消毒して、清潔な状態にする。
※調理器具についている雑菌などが入るとキャベツの乳酸菌発酵がうまくいかないため、とにかく清潔なもので作るのがポイント。
(2)
キャベツは外側の葉を外し(あとで使うので置いておく)、5~7mmくらいの千切りにする。
(3)
千切りしたキャベツの重さを測り、総重量の2%の塩を加えギュウギュウと押し込むようによく揉みこむ。
※夏場は腐敗しやすいので、塩の量を2.5~3%と少し塩分濃度を高めにしてください。
(4)
キャベツがしんなりして水分が滴るくらい出てきたら瓶に移す。
※瓶に入れる際に、お好みでキャラウェイシード、クミンシード、ローリエ、にんにく、ブラックぺッパーなどを加えるのもおすすめです。また、鷹の爪を入れることで防腐効果が期待できますよ。
(5)
キャベツ全体が汁で浸るようにギュッと押し込んでいく。
※お家にすりこぎや麺棒があれば、それらを使って押し込んでいく。とくにかく空気が入らないように押し込むのがポイント。
※この時に出る泡はキャベツのアクなので気になる場合は清潔なお玉やスプーンなどでお取りください。
(6)
最後に、残しておいたキャベツの外側の葉(汚れが気になるようであれば軽く洗って水気を取って使う)で空気に触れないよう蓋をし、直射日光の当たらない場所で保管する。
※蓋は、キャベツの葉ではなく、落としラップなどでも代用できます。
※密閉状態にしやすい瓶がおすすめですが、チャック付きポリ袋などでも作れます。空気が入らないように詰め口を閉じた後、上から重しなどを乗せて保管してください。
(7)
発酵の際にぷくぷくと泡が出てくるので1日1回蓋を開けてガス抜きをする。
1日目~3日目は、ガス抜きの際にキャベツが空気に触れないよう、汁に浸るようにギュッと押し込む。
4~7日ほどで完成。時間が経てば経つほど酸っぱくなるので、好みの味わいになったら保存容器に移し替え冷蔵庫で保管する。
※冷蔵庫に移すと発酵がほぼ止まります。
※冷蔵庫で1か月ほど持ちます。
失敗、成功の見分け方は?
ザワークラウトは調理工程自体は簡単なものの、コツをつかむまでは失敗しやすいものです。
色が変わらなかったり、茶色に変色したりする場合や、キャベツのにおいしかしなかったり、不快感のあるにおいがする場合は腐敗しているので失敗です。(酸っぱいにおいがする場合はうまく発酵が進んでいる証拠です)
ザワークラウトの成功のポイントは以下の4点。
・とにかく清潔な手で(手に傷があったり、アレルギーがある方は手袋をして)、清潔な調理器具を使うこと
・キャベツが空気に触れないように常に水分に浸っている状態にする
・キャベツは新鮮なものを使う
・冷蔵庫に入れるまでは毎日チェックする
暑くなってくると雑菌の繁殖が盛んになり腐敗しやすいので、涼しいうちに仕込むのがおすすめです。
日持ちするので常備菜にぴったり!
ザワークラウトは上手く発酵が進みさえすれば、冷蔵庫に入れて1か月と長期間保存がきくので、保存面でも栄養面でも常備菜として非常に優秀です。
キャラウェイシードやクミンシードを入れて作ったザワークラウトはカレーの付け合わせにもぴったり。
もちろんそのまま食べても美味しいですが、スープにしたり、サンドイッチに挟んだり、パスタに入れたり、料理に加えると味に深みが出るのでおすすめ。
また、2回目に作るときは、残った汁を足すと発酵が促進され早く仕上がりますよ。
外出自粛などが求められ、多くの方がそれぞれの立場でストレスを抱えているかもしれません。
発酵食品は、時間経過により変化していく様も魅力のひとつ。
ぷくぷく泡立ち毎日少しずつ酸味が増していくザワークラウトを見守ることが、毎日のちょっとした癒しの時間になるかもしれないですね。
少し手間はかかるかもしれませんが、好みのスパイスを入れたり、自分にとって丁度良い酸味になるまで発酵を進めてみたり、この機会に自分だけのザワークラウトを作ってみるのはいかがでしょうか。