INTERVIEW

日本酒コンシェルジュ Ponさん・インタビュー【vol.1】「日本酒」の奥深い世界とその魅力

梅雨入り間近、まだ5月の爽やかさの余韻を残しつつも、湿気を帯びた空気にまとわりつかれた6月第一週目の日曜日。

こんなときにこそ、よく冷えたグラスになみなみと注がれたビールを飲みたいと、友人と共に某クラフトビール専門のお店に向かいました。

少し早い時間でしたが、日曜日ということもありほぼ満席。お店の方に相席でも良いか聞かれ、少し飲んで出るつもりだったこともあり快諾。そこで出会ったのが、今回お話を聞かせていただくPonさんなのでした。

日々奥深い日本酒の世界を追求し続けるPonさんとの出会いがビールのお店というのもなんだか不思議な感じがしますが、これもきっと天の配剤。発酵食繋がりということから、せっかくなので改めてお話を聞かせてもらうこととなったのです。

日本酒を楽しんで飲みたい欲が刺激される ~日本酒コンシェルジュ通信とは~

京都で会社員として働くかたわら、「日本酒文化を伝える」ことを目指すPonさん。(同い年で気さくで話しやすいジェントルマンというのが第一印象)

リアルイベントとネットで日本酒文化をガイド・サポートし、日本酒文化の触媒となる役割を果たすべく日本酒文化を楽しむガイド「日本酒コンシェルジュ通信」の活動に関わりながら、「日本酒コンシェルジュ」のひとりとして活動されています。

「日本酒に興味があり勉強してみたいので話を聞かせてください」とお願いしたところ、快く受け入れてくださったので、後日京都市内某所にてPonさんと再会。

なんとこの日のために、たくさんの資料や書籍をもってきてくださいました。「荷物重かったですよね、すみません」というと、「一升瓶を入れていることもよくあるので全然大丈夫です(笑)」という頼もしいお答え。早くもアツい情熱が伝わってきます。

 ・日本酒語辞典:日本酒にまつわる言葉をイラストと豆知識でほろりと読み解く

  こいしゆうか(誠文堂新光社、2017)

 ・日本酒ガールの関西ほろ酔い蔵さんぽ

  松浦すみれ(コトコト、2015)

 ・日本酒のペアリングがよくわかる本

  葉石かおり(シンコーミュージック、2017)

私が特に興味があったのが、こいしゆうかさんの『日本酒語辞典』という本でした。ゆるくてかわいいイラストで、日本酒に関連する言葉をわかりやすく面白く解説されていて、日本酒素人の私にもぴったり。(早速Amazonの欲しいものリストに追加)

また、日本酒好きが高じて、酒米にも興味を持ち熱心に勉強されているということから、『酒米ハンドブック』/副島顕子(文一総合出版、2017)もおすすめしてくださいました。

好きになったらとことんなPonさん。まずは、日本酒コンシェルジュとしての活動についてお話していただきました。

─ サイトやFacebookを拝見しましたが、いろんなイベントを行われていますよね。(取材の少し前に台湾の清酒と台湾料理を楽しむイベントに誘っていただいたのですが予定が合わず……残念です)

Pon そうですね。イベントは「学びの場」として開催していて、定期的にワークショップも開いています。日々日本酒文化を伝えるガイドとして多くの人に日本酒の魅力を伝えるために、書評の記事を書いたりワークショップなどの準備などをしています。

特に今一番力を入れているのは、去年の10月頃から初めた「日本酒テロワールキャノンボール」というワークショップです。ワインの世界での「テロワール」に相当するものが日本酒に影響しているのか。※1 もしあるとしたらどういうものなのか、という問題提起から、日本酒のテロワール・地域性を探ることを目的としてスタートしました。

毎回、地域性を探る都道府県をひとつ決めて6本ほど用意し、それぞれのお酒を3分間ブラインドでテイスティングします。

テイスティング中は私語厳禁で、3分経ったら一人ずつ感想を発表していき、その地域の特徴についてディスカッションしています。あと、お酒に関するデータ、気候や食文化などについての資料も事前に用意して、簡単にレクチャーもしています。

─ とても楽しそうですが、難しそうですね……。

Pon そんなことないですよ。正解はなくて、一人ひとりがそのお酒をテイスティングして感じたことを大切にする場にしているので。

参加者全員が日本酒に詳しいわけではなく様々なバックグラウンドの方がいますし、全員が発言しやすい場となっていると思います。何より、参加者の皆さんそれぞれが真剣に日本酒に向き合う姿勢が、ディスカッションをしやすい空気を生み出していると感じています。

─ (参加者のコメントを見せてもらいながら)確かに、何かに例えたりオノマトペだったり、難しく言うのではなく感じたことをそのまま表現されてますね。

Pon そうなんです。おかげさまで、現在13都道府県分が完了しました。

─ すごい!全都道府県の情報をまとめたら1冊の書籍になりそうですね。各地域についての資料もしっかり作りこまれていてぜひ熟読させていただきたいです。

Pon すべての都道府県が終われば書籍にできたらいいですね。(笑)

─ 趣味から始まったことが、立派に研究として実を伴っているなんて……想像以上に奥深いですね。

Pon 好きというよりも、面白いとか、もっと知りたいといった気持ちが原動力になっているのだと思います。

そして、造り手(蔵元)でも、売り手(酒販・飲食)でもなく、飲み手(消費者)として、今の日本酒文化の中でできることがあるのではないかと考え、活動しています。

〈日本酒文化を受け継いだうえで、新しい文化を創り出す責任があること。そして新しい文化を創り出すということは、飲み手が日本酒を楽しむこと・日本酒を飲むことそのものであること〉と考え、「日本酒文化を伝える」ことを目指されているのが、「日本酒コンシェルジュ」の皆さんだという訳です。

もはや趣味の域を超えて日本酒愛を深めていられるPonさん。膨大な知識量と熱い情熱を目の当たりにして、かなり昔から好きなのかと思いきや、意外にその歴は5~6年ほどなのだとか。

もちろん、好きな気持ちに時間は関係ないですが、Ponさんの知識と熱量はかなりのもの。次回はPonさんが日本酒に目覚めたきっかけや、自分好みの日本酒の見つけ方についてお伺いします。

※1 テロワール:ワインの原料であるブドウをとりまくすべての自然環境のそれぞれの特徴のこと。

■PROFILE

Pon

友人に勧められた日本酒を飲み、電撃が走る。その一杯に出会い、日本酒の魅力にとりつかれる。飲み方スタイルは、お酒に寄り添い語り合う。自家熟成家。日々思うことは、「日本酒を支えてきた全ての文化と人々に今日も感謝」

Web:日本酒コンシェルジュ通信 https://umio.net/sake/

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Instagram: @sakemegane0

Twitter: @sakemegane0

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