皆さん、「発酵あんこ」って知ってますか?
「あんこ」という言葉通り、小豆やいんげん豆を煮て作る甘い餡のことですが、
普通の「あんこ」と違うのは、“砂糖”を使わず“麹”の力で小豆を発酵させて甘さを出すところ。
砂糖不使用ということで罪悪感なく甘いものが食べられる“ギルトフリー”なあんことして発酵食品好きの間でじわじわ広まり、2021年にはテレビなどでも紹介されるように。塩麹や甘酒に続く新たな発酵食品として注目されています。
砂糖なし、“麹”で甘くなるのはどうして?
麹とは、米・麦・大豆など、穀物に麹菌を繁殖させたもので、日本酒、みりん、醤油、味噌など、私たちの身の回りには麹菌を利用して作られた食べ物や調味料がたくさんあります。
この麹には、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなど、30種類ともいわれる酵素が含まれています。
例えばプロテアーゼには、たんぱく質をアミノ酸に分解する働きがあり、甘酒や塩麹に肉や魚を漬け込むと柔らかくなるのはこちらの酵素が働いているおかげです。
その中でも、砂糖なしで甘くなるのには、アミラーゼという酵素が関係しています。
アミラーゼには、でんぷんを糖に分解する働きがあるため、小豆に含まれるでんぷんがアミラーゼによって糖に分解され、甘く仕上がるんですよ♬
ちなみに、米麹を使って作る甘酒も同じ原理。こちらは米のでんぷんが糖に分解されて甘くなります。
酵素の他にも、麹にはビタミンB1、B2、B6、ビオチン、葉酸、パントテン酸、ナイアシンなどのビタミンB群が豊富に含まれています。
「ビオチン」は代謝を促進することから、肌のターンオーバーを促したり、皮膚の炎症を抑制したりなど、美肌、美容効果が期待されるとして注目されている栄養素です。
小さな粒に栄養がたっぷり!小豆パワー
もう一つの材料「小豆」。
大豆や落花生など脂質が多く含まれている豆と違い、食物繊維と糖質が豊富な豆で、他にもたんぱく質やビタミンB群、ミネラルがたっぷり。
抗酸化作用がありアンチエイジング効果の期待される「ポリフェノール」や、コレステロールや中性脂肪の増加を防ぐ「サポニン」など、美容やダイエットにうってつけの栄養素が摂れるのもうれしいポイントです。
こんな人に特におすすめ!
栄養たっぷりの小豆と発酵食品のいいところが合わさった発酵あんこ。
砂糖不使用で、食物繊維やオリゴ糖など腸内環境を整えるための栄養素が豊富に含まれていることから、ダイエット中の方はもちろん、便秘やお通じの悩みを持つ方にもおすすめです。やさしい甘さでお子様のおやつにもぴったり!
ただし、砂糖は入っていないものの糖質は含まれるので、食べすぎはNG。
ダイエット中に甘いものをすべて我慢するのは難しいですよね。そんな時に活用するのがいいかもしれません。
発酵あんこはスーパーなどで買うことはできませんが、小豆と米麹という2つの材料があれば、おうちで簡単に手作りすることが出来ます!
小豆を茹でてしまえば、あとは米麹と合わせて保温するだけで、基本的な作り方は甘酒と一緒。
今回はヨーグルトメーカーを使って、手軽に作る方法をお伝えします。
材料
乾燥米麹 150g
小豆 150g
水 500ml
塩 ひとつまみ
下準備
使用する容器やスプーンなどは、煮沸消毒しておく。(清潔なものを使うことで雑菌が入らないようにする)
作り方
①小豆と小豆がひたひたになる程度の水(分量外)を鍋に入れ火にかける。沸騰後弱火にして5分ほど煮たら、一度ざるにあげて水気をきって軽く洗う。(小豆の皮の渋みを取る、渋切りという工程です)
②小豆を鍋に戻し、水500mlを加えたら、小豆が指でつぶせるようになるまで弱火で1時間ほど煮る。途中であくが出たら取り除き、水が少なくなったら適宜足す。
③水を切り(ゆで汁は取っておいてください)、小豆を60度になるまで冷ましたら、米麹を加えしっかりと混ぜる。途中でゆで汁を全体がしっとりする程度加えてさらに混ぜる。
④全体が混ざったらヨーグルトメーカーを60度に設定し8時間保温する。途中で2、3回よく混ぜる。
⑤最後にひとつまみの塩を加え、よく混ぜ合わせたら完成。
今回はヨーグルトメーカーを使って保温しましたが、甘酒などと同じく、炊飯器の保温機能で作ることもできますよ。
その場合は、温度が60度以上にならないようにご注意ください。
ブレンダーやミキサーでかくはんし、こしあんにしても◎
完成しているかの見分け方は?
全体がしっとりしていたら完成です。
見た目で判断がつきにくい時は少し食べてみてください。甘みを感じたらきちんと発酵が進んでいる証拠です!
甘くならない!これって失敗?という方は…
発酵あんこが甘くならないときは、以下を確かめてみてください。
■保温の温度が低い、もしくは高くないか
温度が低すぎると発酵が進みづらく、酸味がでてきてしまいます。少し温度を上げてみてください。 ただし、60度以上になると麹菌(酵素)が死滅してしまうので、ご注意ください。
■水分の量が多い、もしくは少なくないか
水分が少なすぎるとこちらも発酵が進まないことが…。
多すぎると水っぽくなってしまうので、少しずつ水を足して調整してみてください。
■米麹が古くないか
米麹が古いとそもそも酵素が働かない可能性があります。
その場合は、作り直した方がよいかもしれません。
温度や水分量を確認したうえで、発酵時間をご調整ください。
もしかしたら失敗ではなく、発酵が進むのが遅かっただけかもしれませんよ。
保存方法は?どのくらい日持ちする?
保存容器にうつしたら、冷蔵で2~3日ほど保存できます。
冷凍であれば1か月ほど保存できるので、すぐに使いきれないという場合は冷凍しておくのがおすすめです。
小分けにして冷凍すれば、使う分だけを解凍して使えるので便利です。
ヘルシーで普通のあんこより重くない発酵あんこは、すっきりとした甘さで食べ疲れしません。
あずきの旨みが麹の酵素によって引き出され、ほんのりとした甘さとともに、奥深いしみじみとした味わいが特徴です。
そのまま食べても甘くて美味しい発酵あんこですが、せっかくなので罪悪感なしスイーツとしていろいろアレンジしちゃいましょう!
簡単アレンジでもっと発酵あんこを楽しもう
■甘酒パンケーキ+発酵あんこ
過去にHaccomachiでご紹介した「甘酒パンケーキ」に挟んでどら焼き風に。
もっとガツンとした甘さや濃厚な味わいがほしいという方はホイップを絞ってあんホイップサンドにしても美味しいですよ。
■トーストに塗って
ご存じの通り、あんことバターは相性抜群!
発酵あんこをトーストに塗って上からバターをオン。トースターで軽く焼いたら出来上がり。
朝から元気がほしい時や、小腹が空いたときにぴったりのトーストです。
■意外な組み合わせ?ヨーグルトにかけて
実は相性がよいあんことヨーグルトの組み合わせ。
さらに、麹が入った発酵あんこと、乳酸菌が豊富なヨーグルトの組み合わせでWで発酵食品が摂れるのもうれしいポイントです。
ヨーグルトの爽やかな酸味とあんこのほのかな甘みがマッチして、栄養も抜群のあんこヨーグルトは、朝ごはんにおすすめです!
■豆乳と固めてあずきバーアイスに
発酵あんこ(100g)・豆乳(30cc)・甘酒(20cc)を混ぜて紙コップに入れて固めるだけ。
食後のおやつにもおすすめの冷たい甘味です。
もっと甘さがほしいという方は甘酒の量を増やしたり、濃縮タイプの甘酒をつかったりとご調整ください。
牛乳・卵・砂糖不使用でグルテンフリー・ギルトフリーでアイスが楽しめるのもうれしいですよね。
■寒い時期にぴったりのぜんざい
だんだんと肌寒い日が増えてきました。そんなときにぴったりの和風あったかスイーツです。
発酵あんこを温めて、焼いたお餅を入れるだけ◎
発酵あんこは、温める際に水を足してお好みの柔らかさにご調整ください。
温める際に少し塩を加えると甘さが引き立ちますよ。
■牛乳と発酵あんこを混ぜて和風ドリンクに
お好みの割合で牛乳と発酵あんこを混ぜるだけ。
発酵あんこはブレンダーやミキサーでかくはんしてから牛乳と合わせると混ざりやすいですよ。
ホットでもアイスでもお好みで♬
他にも寒天で寄せて羊羹にしたり、アイスクリームに合わせたり、和から洋まで様々な形で楽しめる発酵あんこ。
糖質はあるものの、砂糖を使うあんこより血糖値の上昇が穏やか。ヘルシーな甘さで、ダイエット中にも罪悪感を感じず、アレンジも無限大です。
ぜひ小豆が旬の今の時期にチャレンジしてみてください!