発酵を手軽に楽しむためのWEBマガジン

発酵料理研究家が選ぶ!お酒のアテに重宝する発酵調味料BEST5

■発酵料理研究家が選ぶ!お酒のアテに重宝する発酵調味料BEST5
【発酵レシピ】お酒のアテに最高!「イサキの塩麹アクアパッツァ」

はじめまして、発酵料理研究家の真野遥です。

私は“日本酒に合う発酵食料理”をメインテーマに、レシピ考案やペアリングの監修、企業のプロモーション支援や地方創生事業のアドバイザーなどの活動をしております。

東京都内で日本酒に合う発酵食料理をペアリング形式で学べる料理教室を主宰しており、多くの日本酒好き、そして発酵好きの皆様に通っていただいております。

今回は日本酒の観点から、発酵食品についてお話しさせていただきます。

日本酒と発酵食品は相性が良い!?

「発酵しているもの同士、日本酒と発酵食品は相性が良い」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

しかし、一口に発酵食品と言っても様々なものがあり、発酵していればなんでも良いというわけではありません。

私の考える、日本酒と相性が良い発酵食品は、「麹」が用いられているもの。

日本酒は麹菌の持つ糖化酵素(アミラーゼ)を利用して醸されたお酒です。
アミラーゼが米のデンプンを糖に分解し、その糖を酵母が食べることにより、アルコールが醸成されます。

一方、日本の代表的な発酵調味料である醤油、みそ、みりん、米酢などは、いずれも麹を用いてつくられたもの。

麹菌の分解作用を利用して、甘みや旨みが引き出されています。つまり、日本酒も、日本の発酵調味料も、麹の分解作用を利用して造られているのです。

それでは、なぜ「麹」という共通点があることで日本酒と料理の相性が良くなるのでしょうか?

“麹菌”という共通点が、日本酒との接着剤になる。

はじめに、これは日本酒に限った話ではないのですが、お酒と料理のペアリングにおいては、第一条件に「共通点」があることが必要です。

何一つ共通点のないちぐはぐなもの同士の相性が良くないというのは、なんとなくイメージがつくかと思います。

料理と日本酒に何かしらの共通点を持たせることで、それを軸に様々なパターンのペアリングが生まれるのです。

共通点を持たせるというのは、例えば味の濃淡を合わせたり、香りが近いものを合わせたり、酸味の種類(クエン酸やリンゴ酸など)を合わせたりするのも一つの方法なのですが、料理に麹の発酵調味料を使用するだけで、簡単に“麹由来の味”という共通点を持たせることができるのです。

ただ、理論だけ聞いていてもピンと来ないかと思います。
そこで今回は、私が日本酒に合わせる料理を作る際に重宝している調味料BEST5をご紹介したいと思います。

第5位 酒粕

酒粕と言えば、醪(もろみ)をしぼって日本酒を分離した後に残る固形物。

食物繊維や必須アミノ酸、ビタミンB群など、粕と呼ぶのはもったいないほど、美容と健康にうれしい栄養成分が豊富に含まれており、同時に料理に旨みとコクを加えてくれます。

元々は日本酒の副産物ということもあり、麹菌、酵母、乳酸菌など複数の微生物に分解された米由来の成分で構成されているため、日本酒に合わないわけがないのです。

私が愛用しているのは、『大七のとろける酒粕』(大七酒造/福島県)。

石臼で挽いたペースト状の酒粕は、チューブから押し出してそのまま使えるため便利であるだけでなく、非常になめらかな味わいでおいしいのです。

料理教室では、アボカドと酒粕、サワークリーム、白みそを混ぜて、前菜に仕立てました。

合わせた日本酒は、にごりタイプの「大信州 スパークリング」。
にごりの日本酒は、本来酒粕になるはずの成分が含まれているため、酒粕を使った料理と相性がいいのですよ。

第4位 純米酢

酢は何を原料にして造られたのかによって種類が異なり、穀物酢やりんご酢、ワインビネガーなど様々なものが存在しますが、やはり日本酒には米由来の純米酢が最も相性が良いように思います。

そもそも、純米酢は日本酒を酢酸発酵(※)させたものなので、元は日本酒なのですよね。
※アルコールが酸化して酢酸になる現象

もちろん、日本酒のタイプによってはワインビネガーのほうが合うパターンもあるのですが(白ワインの様な日本酒など)、これまでの経験上、純米酢の方が相性が良い場合が多いです。

純米酢の特徴としては、ワインビネガーなどよりも旨み成分(アミノ酸)が多く含まれており、同じく旨み成分が豊富な日本酒との接点になるのです。

私が愛用しているのは、『純米 富士酢』(飯尾醸造/京都府)。
じっくりと静置発酵(※)させているため旨みが強く、まろやかな味わいが気に入っています。
※タンクに種酢(できあがった酢)・醪(もろみ)・水・酢酸菌を入れてかき混ぜずにそのまま置き、酢酸菌の力のみで発酵させる伝統的な製法

料理教室では、野菜の出汁マリネに使用しました。
ほどよい酸味とコクが加わることで、きれいな味わいの日本酒と相性抜群。
同じく京都の「澤屋まつもと 守破離」との軽やかなマリアージュは大好評でした。

第3位 本みりん

さて、ここからBEST3に入ります。
本みりんは、毎月の料理教室で使用しないことがないほど大活躍のアイテムです。

煮物や炒め物はもちろんのこと、煮切りみりん(みりんを煮詰めてアルコール分を飛ばしたもの)にすれば、ハチミツがわりに和え物やスイーツなどに使えて便利。

みりんの糖分はゆるやかに吸収されるため、血糖値が急上昇しないのも魅力ですね。

白砂糖のような直接的な甘み(ショ糖)とは異なり、麹由来の甘み成分はブドウ糖、イソマルトース、オリゴ糖など複数含まれ、その他にも各種アミノ酸や有機酸、香気成分など様々な味や香りが含まれるため、料理に奥行きを出してくれるのです。

私が愛用しているのは、『三州三河みりん』(角谷文治郎商店/愛知県)。
本格焼酎仕込みでコクがあり、料理の味に深みを出してくれるので重宝しています。

ほんの一例ですが、料理教室ではメロンとズッキーニのマリネに煮切りみりんを使用しました。
みりんを入れるのと入れないのでは、日本酒との相性の違いが歴然。

麹由来の甘みが日本酒の甘みにピタリとくっつきます。メロンのような香りを持つ「初亀 純米吟醸」にぴったりでした。

第2位 白みそ

日本酒とみそは全般的に相性が良いのですが、中でも甘みの強い白みそは、フレッシュな生酒や甘みのあるにごり酒などとも相性が良く、料理教室でも引っ張りだこの存在です。

熟成期間が浅く、塩分濃度も低いので、みそ特有の味(みそ感)が少なく、クリーミーな料理に隠し味として少量加えると、料理にコクを出してくれます。

私は、もはや白みそは「うま味調味料」ならぬ「コク味調味料」のように捉えており、「みそ」として使うことが少ないくらいです。

また、白みそもみりんと同様、麹由来の甘みがたっぷりと含まれているので、日本酒の甘みとぴったり馴染むのです。

私が愛用しているのは、『京丹波白みそ』(片山商店/京都府)。
こちらは水飴を加えていない無添加の白みそで、麹の力だけでこんなに甘くなるのだから使うたびに驚きます。

料理教室では、ジャムのようにパンに塗り、洋ナシとゴルゴンゾーラのタルティーヌに使用しました。
味の主張はしないものの、料理の味を下支えしてくれます。

活性にごりタイプの「仙禽 雪だるま」と合わせたら、感嘆の声が漏れるほど大好評でした。

第1位 塩麹

さて、栄えある第1位は、塩麹です!
麹、塩、水を合わせて熟成させた万能調味料、塩麹。

塩の代わりに塩麹で味付けするだけで、麹由来の旨みとほんのりした甘みが加わり、途端に日本酒との相性が良くなるのです。

さらに、お肉を柔らかくしたり、素材の旨みを引き出してくれる効果があるので、料理も抜群に美味しくなります。

塩麹でお肉を漬け込むと、酵素の力で食材を事前消化してくれるので、消化吸収に負担がかからず身体にもとても優しいところもうれしいですね。

塩麹は、たっぷり作って冷蔵庫で保存して使います。
常温で置いておくと、アルコール発酵したり表面に産膜酵母(※)などが繁殖してしまうので気をつけましょう。
※表面に発生する白い膜のようなもの。(人体には無害です)

お肉やお魚を漬け込むのはもちろん、酢やオイルと混ぜてドレッシングにしたり、野菜を揉み込んで浅漬けにしたりなど、使い道は無限大。

次回は、第1位の塩麴をつかったオススメのレシピをご紹介したいと思います。