京都の街では朝晩の冷え込みが強まり、紅葉が待ち遠しい季節となりました。
毎年、お花見の時期にはロゼワイン、夏は冷やしに冷やしたホワイトビール、秋は濃厚な甘さと深いコクのあるポートなど、その季節になるとコレ♪というお酒を楽しんでいますが、冬になると店頭に多くの商品が並び始め、必ずいただくお酒があります。
それはどぶろくです!
どぶろくとは?
どぶろくとは、米と米麹と水を原料として発酵させたお酒です。
日本酒の製造過程では醪(もろみ:蒸米、米麹、酒母、水を発酵させたもの)の中に残っている麹や蒸米を濾すのですが、どぶろくの場合は濾過の工程がなく、醪の状態で製品化され、酒税法上は「雑酒」に分類されます。
華やかな芳香、お米のつぶつぶとした食感、爽やかな酸味や優しい甘みが特徴です。
日本酒よりもアルコール度数の幅が広く、6%程度の飲みやすいものや、18%を超える銘柄もあります。
ちなみに、「米麹甘酒」もどぶろくと同じく米と米麹を使っていますが、アルコール分を含まず甘酒は清涼飲料水に分類されています。(醪の搾りかすである酒粕を使う酒粕甘酒には微量のアルコールが含まれます)
また、どぶろくと見た目の似ている「にごり酒」はお酒を粗く濾す作業を経たお酒で、「清酒」に分類されます。
そして、韓国フード人気のなか、注目されている「マッコリ」との違いはその原料。マッコリも米がメインに使われるものの、麦、豆、さつまいも、じゃがいも、とうもろこしといった穀物が原料が使われることもあります。
どぶろく、どう選ぶ?
どぶろくには、火入れをしていない生タイプと火入れ済のタイプがあります。
火入れをしていない生どぶろくは、酵母が活動している状態で瓶詰めされるため、瓶の中でも発酵しており、発泡感や、時間経過による味わいの変化を楽しむことができます。
ただ、開栓時に吹き出すことがあり、私も実際に半分近くを無駄にしてしまったことがあるので要注意です。
火入れタイプは、加熱により発酵が止められているので、なめらかでまろやかな口当たりです。味に安定感が出るので飲みごたえがあるものがお好みの方にぴったりです。
では、私が実際に愛飲しているどぶろく3種をご紹介していきましょう★
おすすめどぶろく①“女子会どぶろく”
最初の1本は、長野県伊那市にある株式会社 仙醸の「黒松仙醸 どぶろく」です。
どぶろくって、どちらかというと渋いイメージがあったので、ライチョウのイラストがキュートなボトルデザインを初めて目にした時は、ちょっと驚きました。
そして、口にしてみて二度目の驚き。とにかく爽やか&フレッシュなんです!
雑味がなく、控えめで上品なお米の甘さ、すっきりとした酸味、発酵中に生じた炭酸ガスのフレッシュ感が絶妙に調和しています。
冬から春にかけて期間限定で販売されるどぶろくが多い中、こちらは1年中手に入れることができますし、アルコール度数も6%と控えめなので、まだどぶろくを飲まれたことのない方への「ファーストどぶろく」候補として推薦いたします♪
コロナ禍前のある日、会社の同僚女性4人でイタリアンのお店に行った際こちらを持参し、持込ワインならぬ“持込どぶろく”をしました。
その際「人生初どぶろくです。どぶろくって飲みやすいんですね~」と初めてどぶろくを飲んだ人から高評価を獲得した実績もありますよ★
そして、いただいたことはないのですが、どぶろくに果汁をブレンドした「どぶとゆず」「どぶといちご」「どぶとパイン」もあるようです。
いちごには栃木県産完熟とちおとめが使われているそうで、おいしいに決まっています★
こちらも是非試してみたいものです。
おすすめどぶろく②“生きているどぶろく”
次のどぶろくも長野県の蔵元さんのもの。武重本家酒造の「十二六 甘酸泡楽(じゅうにろく かんさんほうらく)」です。
火入れをしていない活性タイプで、このどぶろくを一言で表すなら、「生きているどぶろく」です。
青りんごのようなフルーティな香りとヨーグルトのような乳酸系の香り、溢れるボリューミーなお米由来の旨味、プチプチと弾けるような泡。
すべての要素がいきいきとしていて、生命力にあふれています。
商品名の由来は「甘くて酸っぱくて、泡がはじける楽しいお酒」とのことで、まさに名が体を表しています。
ボトルの中では、どんな時でも酵母が糖分を炭酸ガスとアルコールに分解しており、時間の経過とともに段々と甘みが減ることから、賞味期限が製造後20日に設定されています。
そして、賞味期限が短いだけに、生産・販売方法にも工夫がなされています。
毎年、10月中旬から3月下旬にかけて何回かに分けて受注生産し、出き立てのお酒を出荷されているんです!
今年は、10/14頃から販売がスタートしており、終了は3/24頃の予定。
気になる方は公式サイトをチェックしてみてください♪
おすすめどぶろく③“糀屋どぶろく”
最後のどぶろくは滋賀県から。
以前このHaccomachiで取材させていただいたハッピー太郎醸造所の「ハッピーどぶろく」です。 ハッピー太郎醸造所は、2017年に彦根市郊外の古い集落で米麹(こめこうじ)屋として開業され、冬は米麹と味噌、夏は鮒ずし仕込みをされている発酵食品工房。 「醗酵でつなぐ、しあわせ」をポリシーとして活動されています。
2021年12月、長浜市に誕生した商業文化施設「湖のスコーレ」内に拠点を移され、翌年1月よりどぶろくの醸造・販売をスタートされました。
お米には、SHIBATA GROUND MUSICさんの「ありがとう米」などのお米とクエン酸糀を使用した、無添加のどぶろく。火入れされているので、1年中楽しめるのもありがたい限りです。
クラウドファンディングのリターンとして手にすることができ、甘口と辛口の2種類を比較しながら楽しみました。
甘口(写真左)には、すがすがしい綺麗な香りと豊かなお米の旨味が感じられます。辛口(写真右)は、切れ味のあるすっきりシャープで爽やかな飲み心地が魅力です。いずれも雑味がなく、お米のエッセンス・大地のパワーをそのままいただいているような生命力が感じられます。
エチケットにあしらわれた切り絵は、滋賀県米原市を拠点に活動されている切り絵作家・早川鉄平氏によるもので、甘口のモチーフは「田んぼの護り神・雌狐と野花」、辛口のモチーフは「田んぼの護り神・雄狐と稲穂」。どことなく神聖な雰囲気も感じられるボトルデザインと、発酵の神秘性とがマッチしています。
お酒のための酒麹ではなく、美味しいお味噌を仕込むための完熟糀で糀屋さんが醸したどぶろくは、びわ湖をはじめとする滋賀の美しい風景が目に浮かぶような綺麗な味わいのお酒です。
どぶろくアレンジ
「ちょっと味わい方を変えてみたい」という方には、アレンジもおすすめです。
甘酒も炭酸やフルーツとの相性抜群なので、同じように自由に楽しんでみましょう☆
■どぶろく+ソーダ
1:1で割ると、コクがありつつさっぱりといただけ、食事にも合わせやすくなります。
■どぶろく+ジンジャーエール
生姜の風味で清涼感がプラスされたスッキリテイスト。
■どぶろく+フルーツジュース
オレンジ、パイン、桃などお好みのフルーツでお試しください。私は、どぶろく2:ジュース1でまず割ってみて、フルーツの甘み等により調整しています。お好みのおいしさを見つけてください♪
奥深いどぶろくの世界
今回は、特におすすめしたい3点をピックアップしましたが、WEBで検索すると、全国のたくさんのどぶろくにヒット。 米の種類や麹の個性、醸す時間などにより個性が異なる数多のどぶろくに出会うことができます。
甘酒がお好きでお酒もお好きな方なら、どぶろくもお口に合うかもしれません!
この冬、ファーストどぶろくを味わってみてはいかがでしょうか♪