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【Hacco図鑑】夏のごちそうと言えばあのお魚!鮎を使った珍味「うるか」

【Hacco図鑑】夏のごちそうと言えばあのお魚!鮎を使った珍味「うるか」

こんにちは!7月に入り、京の街中では二階囃子の音色が聞こえてくる季節となりました。夏がやって来て暑さに参ってしまう一方、このお囃子を耳にすると、何だか華やいだ気持ちになりますよね。

今回は、そんな夏を彩る食材の1つである鮎を使った発酵食品「うるか」をご紹介します。

「うるか」って?

「うるか」とは、鮎の塩辛のことです。以前「発酵図鑑」でご紹介した「酒盗」も、魚の内臓を塩漬けにして熟成させた塩辛で、「しょっつる」も魚を発酵させた醤油なので、仲間と言えますね。

岐阜県の長良川、熊本県の球磨川、大分県の三隈川や大野川など鮎が獲れる地域で作られ、受け継がれてきました。鮎はとれる時期が限られることから、保存手段の一つとして「うるか」が生まれたのだとか。


発酵食品なので、胃腸を整えてくれると、昔から腹痛時などに重宝されてきました。また、内臓を多く使うため、特にビタミンAやビタミンD、ビタミンB群が多く含まれています。

うるかができるまで

では、うるかの製造工程をご紹介しましょう。

  1. ひれ・うろこ・頭を切り取り、鮎の内臓にある泥や砂を洗ってきれいにして細かく刻む
  2. 「1」に適量の(1の全量の1/4~1程度)塩を入れ、毎日4~5回混ぜる
  3. 約1週間ほど「2」を行ったら水気を切り、瓶に移す
  4. 数ヵ月~1年以上熟成させたら完成

高級魚である上に手間と時間がかかっているのですね。
古くから珍重されてきた所以が理解できました。

うるかの種類と味わい

うるかには、以下の種類があります。

写真左側:子うるか、右側:苦うるか

●苦うるか(渋うるか、土うるか):鮎の内臓のみで作るうるか
●子うるか(真子うるか):卵巣(卵)や精巣(白子)を使ったうるか
●身うるか(親うるか):内臓にほぐした身を混ぜるうるか


「苦うるか」は内臓と塩のみで作られているので、鮎特有の香り・深い旨味・程よい苦味が引き出されています。
そのままだとちょっと塩辛いので、ちびちびと少しずつ食べたり、隠し味にするのが良さそうです。

ちなみに原料となる鮎が食べているエサの違いでうるかの色や味わいも全く違うのだとか。天然鮎と養殖鮎でも味に違いがあるそうですよ。


「子うるか」は、「苦うるか」に比べるとマイルドで食べやすく、やはりしょっぱいもののそのままでも「美味し~」と感じました。
卵巣(卵)が使われているだけあって、同じ魚卵のいくらやたらこを想わせる風味・味わいがありました。

味わい方は?

そんなうるか、どう使えばよいのでしょうか?一般的には、酒の肴やごはんのお供として、また料理の隠し味として使われます。

私は、「苦うるか」と「子うるか」を使って2種のアレンジを楽しみました!

■うるかのペペロンチーノ

まずは、ペペロンチーノです。通常はアンチョビを入れるのですが、アンチョビを苦うるかで代用しました。


うるかを入れる量はお好みですが、私は、パスタ100gに対し、ティースプーン1杯弱程度使ってみました。
キャベツも少し入れていたので、塩味も苦味も風味も丁度良かったです。
しっかりとうるかを感じたい方は増やしてもよいですが、塩味が強いので適宜ご調整ください♬

■うるかクリームチーズ

「子うるか」は、室温に戻したクリームチーズと和えてみました。


クリームチーズ100gに対し、うるかを大さじ1加えたのですが、塩味のバランスバッチリでした。クリームチーズのミルク感溢れるコクにうるかのコクが合わさり、とってもリッチな美味しさ★
混ぜるだけで完成の贅沢な一品は、冷酒や白ワインにピッタリです。

京都一の傳 本店のランチでも

また、錦市場近くにある「京都一の傳 本店」のランチコースにもうるかを使ったお料理が登場しています!
使われているのは、前菜の中の「帆立うるか和え」。


帆立と長芋が苦うるかの濃厚なコクと心地よい苦味をまとい、帆立本来の旨味がイキイキとしています。

写真中央が「帆立うるか和え」


そして、7月のお料理「文月の御膳」には、鮎や鱧などこの時期ならではの食材がふんだんに使われていました♬
詳しくは、試食会レポート「京都・四条で京懐石ランチ♬町家の風情漂う空間で楽しむ焼き立ての西京焼」をご覧ください。

「うるか」を生まれて初めて味わい、日本が誇る魚の発酵食文化の奥深さに触れることができました。

うるかはオンラインショップで手軽に購入することができるので、お気に入りのうるかやアレンジ法を見つけて、新たな発酵食品の扉を開いてみてはいかがでしょうか。


京都一の傳 本店

■所在地:京都市中京区柳馬場通り錦上る十文字町435番地
■営業時間:1階 お買い物 10:00~18:00/2階 お食事 11:00~16:00(L.O.14:30)
■店休日:水曜日(祝日の場合、翌木曜日)、12月31日~1月4日
■電話番号(お食事専用ダイヤル):075-254-4070(受付時間10:00~18:00)
※お食事は事前のご予約をおすすめしております。