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京都一の傳 本店 料理長の和食講座〈vol.4〉 –きのこの風味が濃厚!醤油麹を使った「舞茸の醤油麹ソース」-

普段日常ではなかなか知ることのできない和食のいろはをお届けする「和食講座」。 京の伝統料理・西京漬を作り続けてもうすぐ100年の老舗「京都一の傳」本店の料理長 佐藤暢郎が、いつもよりちょっと本格的な和食をおうちでも取り入れられるようなレシピや、日本料理ならではのちょっとしたコツ、四季折々の食材の話をお伝えしていきます。

今回から4回シリーズで発酵調味料“醤油麹”を使ったレシピを教わります。

これまで、「季節の料理」「味噌汁」「出汁の取り方」を教えていただきましたが、発酵食品を使ったお料理のレパートリーを広げたいので、醤油麹を使ったお料理レシピを教えていただけますか?

料理長 佐藤

以前、Haccomachiで醤油麹の作り方を紹介してましたね。 自家製なら、自分が好きな米麹やお醤油を使って、好みのオリジナル醤油麹を作ることができますよね。ここ数年で、スーパーなどで市販のものも見かけるようになりました。
醤油麹を使ったお料理、何かありますか?

料理長 佐藤

そもそも和食では醤油をよく使うので、醤油麹を醤油の代用品と考えれば、かなり幅広くいろんなお料理で使えますよ。今回は秋らしく、舞茸と醤油麹を使ったつけダレのレシピをお教えします。

「舞茸の醤油麹ソース」の作り方

材料

舞茸 半株
醤油麹 50g
ごま油(できれば太白ごま油)30g
ハマチ・カンパチなどお好みの刺身・あしらい

作り方

①舞茸をほぐし、フライパンに入れ、中火~強火で焦げ色がつくまで炒める。

※香ばしさを出したいので、焦げ目が付くまで炒める。
※テフロン加工フライパンの場合は、ごま油なしでOK。フライパンの素材によってはごま油をひいて炒める。

②ブレンダーに舞茸・醤油麹・ゴマ油を入れ、細かくなるまでよく攪拌(かくはん)して出来上がり。

※ブレンダーがない場合は、舞茸を細かく刻み、ボウルにすべての材料を入れホイッパーでよく混ぜる。

料理長 佐藤

好みのお刺身とソースを器に盛れば完成です。
ごま油は太白ごま油とありますが、太白ごま油と一般的な茶色のごま油ってどう違うんですか?

料理長 佐藤

太白ごま油は、一般的なごま油のように焙煎したごまではなく生のごまを使っているので、ほぼ無色透明で、ごま油特有の香りも控えめです。クセがなくすっきりとしているものの、ごまの旨みが凝縮された奥深い味わいを楽しむことが出来るんですね。
焙煎したごまを使うか、焙煎してないごまを使うかの違いなんですね。

料理長 佐藤

そうですね。今回は、きのこや醤油麹など素材本来の香りや風味を残したいので、太白を選びました。
なるほど!お料理によってごま油を使い分けるんですね。 それから、盛り付けが美しいですね~。お刺身に切れ目が入っていると、なんだか上級者っぽいです!

料理長 佐藤

はい、綺麗なだけでなく、切れ目を入れることで醤油やタレが絡みやすくなり美味しく食べられるんです。ブリのような脂乗りが良いお魚の場合、お刺身に醤油を付けても脂ではじいてしまうことがあるので。 お腹側の薄い箇所には細く細かな切れ目を入れるといいですよ。
見た目だけではなかったんですね。では早速いただいてみます。

料理長 佐藤

まずはソースだけをつけて、その後お好みでわさびも添えて召し上がってみてください。
すごく美味しいです!お口の中が秋ですね~。まるできのこのホイップクリーム! とても滑らかな食感ですね。

料理長 佐藤

そうですね。舞茸を焦げ色がつくまで炒めたので、しっかり香りも出てますよね。他のきのこを使えばまた風味が変わります。松茸で作っても美味しいですよ。
贅沢ですね★日持ちはどのくらいでしょうか?

料理長 佐藤

冷蔵庫で保存し、4日以内程度を目安に使い切ってください。
きのこをこんな風にソースにするという発想はなかったので、すごく新鮮です!

料理長 佐藤

今日はお刺身に添えましたが、ソースとして野菜や豆腐などにつけても美味しいですよ。

せっかく発酵調味料を手づくりしたり買ったりしたのであれば、色々と活用したいですよね。 次回は、年末のホームパーティーなどにもぴったりな、醤油麹を使ったピクルスのレシピをご紹介します!

これまでの料理長の和食講座はこちら

京都一の傳 本店 料理長の和食講座〈vol.1〉 – 7月のレシピ紹介:「鱧」×発酵食品「酢」 京都一の傳 本店 料理長の和食講座〈vol.2〉 – 季節のお味噌汁【夏】 京都一の傳 本店 料理長の和食講座〈vol.3〉 – 「出汁」の取り方、「出汁」を使ったレシピ

「京都一の傳 本店」では、毎月、旬の食材がたっぷり使われた季節の前菜をはじめ、椀物、炊き合わせ、そしてメインには京都一の傳秘伝の西京漬を丹念に焼き上げた「蔵みそ焼」をお楽しみいただける月替わりのコース料理をご用意してお待ちしております。

京都一の傳 本店

所在地
〒604-8121
京都市中京区柳馬場通り錦上る十文字町435番地

営業時間
1階 お買い物 10:00~18:00/2階 お食事 11:00~16:00(L.O.14:30)

電話番号(お食事専用ダイヤル)
075-254-4070(受付時間10:00~18:00)
※お食事は事前のご予約をおすすめしております。
※新型コロナウィルスの影響で飲食営業を臨時休業、時短営業している場合がございます。詳しくは公式ホームページをご覧ください。

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京都一の傳 本店 料理長

佐藤 暢郎

大阪の有名和食店やホテルで研鑽を積んだ後、自身の和食店「素料理さとう」をオープン。ビブグルマンを獲得し、その後2017年5月に京都一の傳 本店料理長に就任。素材の味わいを活かしつつ、お客様に新たな発見をお楽しみいただけるような料理を信条としている。