音楽界、映画界、コスメ界……最近の日本での韓国文化の広まり具合には目を見張るものがありますよね。 そしてもちろん食べ物も!ビビンバ、チヂミ、サムギョプサル、参鶏湯などのなじみ深いものから、最近ブームのヤンニョムチキンやキンパ、ビビン麺、タッカルビなど、日本でも様々な韓国料理が食べられるようになりました。
そんな韓国料理にかかせない「キムチ」や「コチュジャン」は実は発酵食品!
キムチは韓国女性の美肌の秘密、なんて言われてたりもしますよね。
今回はそんな「韓国の発酵食品」の中から「キムチ」にフォーカスしてみたいと思います。
韓国の代表的な食べ物「キムチ」
ヨーロッパで広く親しまれているザワークラウトと同じく、世界的に知られている発酵漬物であるキムチ。
2013年には、晩秋に行われるキムチ漬けの風習「キムジャン文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、韓国では欠かせない国民食です。
キムチは約4000年も前からあると言われ、もともとは寒い時期に備えた保存食として野菜を塩漬けしたものから始まったそう。16世紀ごろ唐辛子が伝来し、19世紀の文献「閨閤叢書(けいこうそうしょ)」(1809年)に千切り唐辛子をつかったキムチの記述がみられることから、この頃から唐辛子が使われるようになったと推測されています。はじめは私たちが想像する“赤くて辛いキムチ”ではなかったんですね!
日本でも人気の高いキムチですが、実は市販されている商品の中には、‟発酵していないキムチ”もあるのはご存じでしょうか?
浅漬け野菜に唐辛子などを加えキムチ風に漬け込んだ日本人の口に合いやすくアレンジされたものが、発酵していないキムチですね!
もちろん美味しいことには変わりないのですが、せっかくなら植物性乳酸菌(ラクトバチルス)がたっぷり含まれる“発酵したキムチ”を食べたいですよね。
- 韓国直輸入品と記載されているもの
- 韓国農協のキャラクター「アルンちゃん」マークがついているもの
- 「熟成発酵」「乳酸発酵」というような文字が書いてあるもの
上記で見分けられるので売り場でぜひチェックしてみてください!
キムチに含まれるからだにうれしい栄養素たち
乳酸菌(ラクトバチルス)
“発酵したキムチ”には、乳酸菌がたくさん含まれています。
乳酸菌と聞くと、ヨーグルトを連想される方も多いかと思いますが、実はキムチやぬか漬け、たくあんなど、お漬物の中にも乳酸菌が含まれるものが色々あるんです。キムチ独特の旨味や風味は、乳酸菌が発酵することによって生み出されているんですね。ヨーグルトは苦手だけど乳酸菌を摂りたい!という方にもってこいかもしれません。
乳酸菌は、炭水化物などの糖から乳酸を作る細菌の総称。
大腸菌など悪玉菌の繁殖を抑えて腸内環境を整えたり、腸の動きを助け、便秘を改善する効果があるのだとか。お通じの改善だけではなく、コレステロール値を下げたり、免疫機能を高めるなど、様々な働きがあると言われています。
豊富なビタミン、ミネラル、食物繊維
キムチの代表的な材料の白菜には、ビタミンA・B・Cやカルシウム、鉄分、カリウムなどのミネラル類、そして食物繊維が豊富に含まれます。
白菜の他にもキムチは大根やキュウリなど、ビタミンCが豊富な淡色野菜が主な材料。
熱を加えずに作るため、野菜に含まれるビタミンCが破壊されず、そのまま摂ることができます。
pHに影響を与えているのが腸内細菌の状態。大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌が多いとアルカリ性に、逆に善玉菌が多いと酸性に傾きます。
善玉菌を増やすには、発酵食品と食物繊維やオリゴ糖を含む食材を一緒に摂るのが効果的だと言われています。
カプサイシン
忘れてはならないのがキムチの辛さの源である唐辛子に含まれる「カプサイシン」。
唐辛子を食べると汗をかきますよね。これは実はカプサイシンによるもの。カプサイシンが交感神経を刺激し、脳内でアドレナリンが放出されることにより、身体が熱くなり発汗します。このときに出る汗には水分だけでなく油分も豊富に含まれており、そのことで肌の保湿成分・油分のバランスがとれるのだとか。
韓国には美肌の女性が多いですよね。もちろん、食べ物だけが理由ではないと思いますが、キムチを食べて適度に汗をかくというのはお肌にとってもよさそうですね!
カプサイシンには他にも血管を拡張させる作用や、コレステロールが血管の壁に付着するのを防ぐ作用があるのだとか。コレステロール値の改善や高血圧を予防する効果が期待できます。
また、カプサイシンには乳酸菌とおなじく、腸のぜん動運動を促進する働きも。
健康や美容を気遣う人にとってうれしい食べ物であると言えそうです。
白菜キムチやカクテキの他にも!キムチの種類をご紹介
●ペチュキムチ
一番メジャーな白菜キムチがこちら。
単にキムチというときもこのペチュキムチを指すことが多いです。
●カクテキ
角切りにした大根を使ったキムチ。シャキッとした歯ごたえで食べ応えがありますよね。
●オイキムチ
キュウリのキムチ。こちらもカクテキと同じくシャキッとした食感が美味しいキムチです。
●ポッサムキムチ
牡蠣、アワビなどの海鮮と栗、松の実といった多種の材料を白菜の葉で包んで漬けたキムチ。
「ポッ」は福、「サム」は包むという意味。韓国では祝いの場に欠かせないキムチで、宮廷キムチとも呼ばれています。
●ムルキムチ(水キムチ)
「ムル」は韓国語で水のこと。唐辛子を使わない辛くないキムチのことを指します。
米のとぎ汁を使って作り、漬け汁には白菜のキムチや日本のぬか漬けより豊富な乳酸菌が含まれます。
●チャンジャ
タラの内臓を唐辛子やニンニクなどで漬けた塩辛のこと。
魚のキムチとも言われ、焼肉屋さんのサイドメニューなどでよく見かけます。
辛さの中に強い旨味があり、お酒のあてにもぴったりです。
Haccomachi的!キムチのおすすめの食べ方
乳酸菌は熱に弱いので、加熱すると死んでしまいます。
豊富な乳酸菌を取り入れるには、やっぱりそのまま生で食べるのが一番!
たんぱく質が豊富な食材や、他の発酵食品と組み合わせてアレンジして食べるのもおすすめです。
〈おすすめの組み合わせ〉
●納豆
納豆と和えてキムチ納豆にすると、最強の発酵フードに!
他にも豆腐やツナなど、納豆と同じく、キムチに足りないたんぱく質が摂れるものと組み合わせるのがおすすめです。
●チーズ
乳酸菌×乳酸菌な発酵食品の組み合わせ。
納豆、チーズ、キムチの3種を合わせても美味しいですよね。
●アボカド
食物繊維が豊富な食材と合わせるのもおすすめ!
アボカドのなめらかな食感とキムチの酸味があわさりたまりません。
生で食べるのが一番とはいっても、発酵が進みすっぱくなったキムチはそのまま食べるのが難しい場合もありますよね。
そんなときはシンプルな味付けと酸味がたまらないキムチチャーハンにして食べるのはいかがでしょうか?
作り方は以下。とっても簡単です!
- 油をひいたフライパンでキムチを炒め、黄色っぽくなるまで火をしっかり通す。
- ツナ(もしくはスパム)とキムチの漬け汁を大さじ1~2ほど加え、塩コショウで味付けします。
- 最後にご飯を入れ炒めたら出来上がり。 ※酸っぱいキムチの方が美味しく仕上がります。
熱で死滅した乳酸菌は腸内で善玉菌のエサとなるので、加熱したらまったく意味がないという訳ではないのでご安心を。
他にも、以前Haccomachiでご紹介したキムチクッパもおすすめです。卵と合わせると味がまろやかになりますよ。
野菜たっぷりで大満足!夜食にもおすすめのキムチクッパ食べすぎには要注意
発酵食品全般に言えることですが、一回にたくさん食べるのではなく、ちょっとずつ習慣的に食べるのが一番。
乳酸菌は体内で長く生きることができないので、日々体内に摂り入れることで、善玉菌と悪玉菌のバランスが整った状態にしておく、というのがキモです。
特にキムチは塩分が多く、食べすぎると高血圧を招く可能性も…。
カプサイシンも適量なら胃腸によいとされているのですが、大量に食べると刺激が強すぎて粘膜を傷つけ胃腸があれる原因にもなりかねません。
日々いろいろな形で少しずつ発酵食品を食べるのが健康や美腸、美肌への近道ですね!
今回は韓国の発酵食品の中から「キムチ」をご紹介しました。
コチュジャンやマッコリなどについてもまたお伝えしていきますね。