最近流行りの韓国フードといえば、ヤンニョムチキンやカンジャンチキンといったフライドチキンではないでしょうか。
実は韓国では、ビール(メクチュ)をセットにした食べ方を表す「チメク」という言葉があるくらい庶民のソウルフードでもあるフライドチキン。フライドチキン専門店の数は、なんとコンビニをも上回るのだとか。日本でも2020年ごろから韓国のフライドチキン店が増えてきました。韓国ドラマの「愛の不時着」がそのブームの火付け役とも言われています。最近では、お家でヤンニョムチキンを手作りされている方も多いのでは?
このヤンニョムチキンの甘辛いソースに使われているものこそ、韓国の国民的調味料ともいえる「コチュジャン」。 他にもビビンバやトッポギ、チーズタッカルビなど、韓国のいくつものソウルフードに使われているコチュジャンをひも解いていきましょう!
韓国三大“ジャン”のひとつ「コチュジャン」
唐辛子という意味の「コチュ」と醤(ひしお=味噌の一種)という意味の「ジャン」を合わせた言葉であるコチュジャン。 唐辛子粉と大豆麹、もち米やお米を炊いたもの、塩を混ぜて練り上げ、壺などの容器で熟成させて作る発酵食品です。
唐辛子の辛さだけでなく、麹菌由来の甘さがあり、クセになるような美味しさですよね。
大豆麹は「メジュ」と呼ばれ、これがコチュジャンの味の決め手となります。
大豆を柔らかく煮て潰し、四角に形成して乾燥、発酵させたもので、コチュジャン以外にも、韓国の伝統的な調味料のテンジャン(日本でいう味噌のようなもの)、カンジャン(日本でいう醤油のようなもの)の原料として使われます。
テンジャンやカンジャンに比べ、コチュジャンが生まれたのは比較的最近で、唐辛子が韓国に伝来した後の18世紀ごろだと言われています。熟成されたコチュジャンにはタンパク質、ビタミンB、ビタミンC、カロチン、カルシウムなど多くの栄養素が含まれており、また、唐辛子に含まれる「カプサイシン」が代謝を活発にしてくれます。
甘辛でお箸が進むだけでなく、様々な栄養素が含まれているのは嬉しいですよね。
豆板醤、甜麺醤(テンメンジャン)とどう違うの?
コチュジャンを豆板醤で代用できるか、また、その逆ができるか、調べたことがある方も多いのではないでしょうか。 私もコチュジャンが必要な料理を作るときにちょうど家にストックがなく、豆板醤で代用できないか検索したことがあります。
豆板醤は麻婆豆腐や担々麺、エビチリなどに使われる中国の四川省発祥の調味料で、四川料理には欠かせません。
漢字に豆が使われている通り、主材料はそら豆、唐辛子です。塩漬けにしたそら豆と、ごま油、唐辛子味噌、胡麻味噌などを合わせて作ります。加熱すると香りが増し、ピリリとする辛みが加わるのが豆板醤です。
甜麺醤は北京ダックを食べるときにつける甘い味噌で、こちらも中国の調味料のひとつです。 ほかにも回鍋肉やジャージャー麺などにも使われますね。 「甜」は甘い、「麺」は小麦粉という意味。主材料は小麦粉で、辛さはなく甘い味噌です。
ざっくりというと、それぞれ特徴が少しずつ違う味噌という感じでしょうか。
コチュジャンと生まれも材料も違うふたつの調味料ですが、豆板醤はコチュジャンより塩気と辛みが強く、甜麺醤は辛みがなく甘みが強いので、甜麺醤を少し多めに豆板醤と合わせたらコチュジャンの代用品として使えそうですね。
今やスーパーにも様々な種類が!好みのものを選ぼう
とは言っても、やっぱりコチュジャンの味はコチュジャンならではのもの。
今は昔に比べスーパーに様々な種類のコチュジャンが並んでいたり、ネットでも好みのコチュジャンを買うことができます。
特に韓国産のコチュジャンはしっかりとした辛さがあり、その中にコクや甘味が感じられクセになる味わい。チヂミなどに添えると一気に本場の味に近づきますよ。日本産のコチュジャンは砂糖を加えたものも多く、甘めで食べやすいのが特徴です。
中には添加物で味を調整したものもあるので、なるべくシンプルな材料で作られたものを選ぶのをおすすめします。
私は最近bibigoのコチュジャンを買いました!
韓国でも人気のあるメーカーということで、しっかりと辛くコクもあり、ついついいつものメニューにちょい足ししてしまう美味しさです。
色んな料理に使えるコチュジャン!おすすめの食べ方をご紹介
コチュジャンを使う代表的な料理以外にも、いろいろなアレンジが効くのがコチュジャンの嬉しいところ。
私はこの夏、そうめんをビビン麺風にして食べるのにはまりました。辛さ、甘さ、酸っぱさが合わさり、中毒性のある味わいですよ。
コチュジャン、ごま油、酢を同じ割合で合わせ(大さじ1~大さじ1 1/2くらい)、醤油と砂糖をお好みで加えます(大さじ半分くらい)。
そこにすりごまをたっぷり加え、そうめんとよく混ぜ合わせます。
最後にゆでたまご、たっぷりのきゅうり、納豆、ツナ、キムチなどの具材をのせたら出来上がりです。
特におすすめな具材が納豆。まろやかになって美味しいですよ!
味が濃いのできゅうりもたくさんのせると、水分や食感が加わり食べやすいです。
砂糖をはちみつに変えるのもいいですね。
コチュジャン、酢、納豆、キムチと、様々な発酵食品を加熱せずに摂れるのも嬉しいポイント。
私は酢と砂糖を少し多めにするのが好みでした。
コチュジャンの味にもよると思うので、ぜひ皆さんも好みのバランスを見つけてみてください!
他には、サーモンを醤油、コチュジャン、ごま油を合わせたつけダレに漬け込んでつくるサーモンユッケ丼はいかがでしょうか。
いつものお刺身や漬け丼と違いが出て新鮮な味わいが楽しめますよ。サーモン以外にもまぐろなども合いそうですね。
たっぷりの大葉や胡麻をのせると風味や食感が加わりおすすめです。
また、炒め物や和え物に少し加えるとほどよい辛さとコクが加わるのでおすすめです。 中華スープに加えるとピリ辛な味わいに。辛党の人は揚げ物にちょこっとのせて食べるとご飯が進みますよ!
おうちで簡単!米麹で作る「自家製コチュジャン」
伝統的なコチュジャンの元となるメジュを日本で手に入れることは難しいですが、米麹で代用して作ることもできますよ。 甘酒を作り、そこへ塩と韓国唐辛子を入れ60℃以下で煮詰めたら完成する簡易版のコチュジャンです!
麹のコクが加わり、奥深い味わいに仕上がります。家でよく甘酒や塩麹を作るという方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。 米麹の甘さを利用し、砂糖や水あめ不使用で作れます。
おうちで作ると、何が入っているのか把握でき、辛さなどを自分好みの味わいに調整できるのが嬉しいですよね。
材料
乾燥米麹 100g
60℃のお湯 100ml
韓国産唐辛子 15~20g(お好みで、辛いものが好きな人は多めに)
塩 15g
手順
①米麹をほぐし、60℃のお湯を入れ混ぜ、炊飯器やヨーグルトメーカーなどを使って60℃を保ち6時間ほど保温し、はや作り甘酒を作る。
途中で何回か混ぜると発酵しやすい。水分が少なくなっていたら、途中で50mlほど60℃のお湯を足す。
②甘酒が完成したら鍋に移し、韓国唐辛子と塩を加え、60℃を越さないよう火加減に気を付けながら混ぜ合わせる。
③唐辛子と塩が甘酒になじみ、少し照りが出たら完成。
唐辛子は、鷹の爪などの日本の唐辛子で作ると辛すぎるので、韓国産のものがおすすめです。 調理器具は煮沸やアルコール消毒をし、雑菌が入らないようご注意ください。
米麹と唐辛子、塩だけのシンプルなコチュジャンですが、味噌や醤油、すりおろしたにんにくなどを加えて、ぜひ自分好みの味を見つけてください。
食べすぎには要注意
米麹と大豆麹という違いはあれど、日本人とゆかりのある「麹菌」の発酵食品であるコチュジャンは、辛いだけでなく、日本人の口にも合いやすい調味料のひとつではないでしょうか。
かくいう私もついついちょい足ししてたくさん食べてしまう調味料のひとつです。ですが、食べすぎには注意です。
韓国の発酵食品シリーズvol.1の「キムチ」と同じく、コチュジャンは辛さと塩気のある調味料なので、摂りすぎると胃があれる原因になったり、高血圧を招く可能性も……。
また、コチュジャンを使った韓国料理のレシピには砂糖を使うものが多いので、砂糖の摂りすぎにも注意したいところ。 色んな種類の発酵食品を少しずつ、継続して摂ること。これがやっぱり発酵の力を効果的に取り入れる秘訣ですね。