今回ご紹介する本は、「麹本 KOJI for LIFE」です。
著者 なかじさんについて
著者のなかじさんは、「麹の学校」の代表として、麹・発酵・腸をライフテーマに家庭で作る麹つくりを発信していらっしゃる麹文化研究家です。
日本国内はもとより、ヨーロッパ各国や北米で麹づくり等のワークショップを開催され、正に麹の伝道師!
なかじさんのTwitterでこの本「麹本 KOJI for LIFE」に出会いました。
過去の著書には、「寺田本家の酒粕レシピ」(PHP研究所) 「酒粕のおいしいレシピ 寺田本家蔵人の酒粕料理帳」(農文協)「みなみ屋さん 玄米ごはんと野菜のおかず 手作りする発酵保存食」(パルコ出版) などがあります。
千葉県で340年続く自然酒造り酒屋「寺田本家」に8年間勤め蔵人頭としてお酒作りに携わっていらしたので、酒粕の魅力がこれでもかと溢れ出る数々のレシピが掲載されていますが、今回の本は、麹そのものについて実にわかりやすく教えてくださっています。
暮らしの中で育てる麹
「麹本 KOJI for LIFE」は以下で構成されています。
1.麹とは?
2.麹をつくる
3.麹でつくる
番外編 もうひとつの麹つくり
種麹の入手先一覧
なかじさんが「暮らしの中で安全に確実に、世界中どこでも手に入る道具で麹を育てる」と書かれている通り、これを読めば、麹のどんな面が人間にとってありがたいのか、そしてどうすれば麹を育てられるかをワンストップで学ぶことができます。
麹室や麹蓋がなくても、電気毛布などを使い、マンションでも一軒家でも、田舎でも都会でも麹をつくることができる方法を伝授してくださっています。麹つくりの裾野が大きく広がっていくのが想像できます。
わかり易いから楽しい♪
こちらの本の特徴は、なんと言ってもわかり易いこと!
①説明のポイントが明確!ビジュアライズできてわかり易い★
一番印象に残ったのは、“麹菌は発芽して菌糸を伸ばして、菌糸の先から酵素を出す”というお話でした。
酵素のおかげで原料が分解され甘みや旨みが作られ、味噌や醤油が美味しく醸されるというのはなんとなく知っていましたが、“菌糸の先から酵素を出す”というビジュアルを想い描いたことはなかったので、そのシーンを想像し、「菌糸ファイト~」という気持ちになりました♪
また、“自分で麹を作れば、できあがりの麹の酵素の量やバランスを自分で決めることができる”、つまり自分好みの麹を作ることができる、というのも驚きでした。
②写真が大きくてたくさん★
各工程が作業のポイントや目的とともに大きな写真で紹介されています。
また、ページ内の麹つくりの各工程箇所にはQRコードが配され、そこからYouTubeページに飛び、レシピ動画のように作業を確認することができます。
麹を学ぶと、発酵食品がより身近に、より楽しく。
私も、約2年前に菱六 助野さんの米麹つくり講座に参加させていただいたことがあります。
麹つくりって、3日間もかかるし、特別な道具が必要そうだし、失敗するかもしれないし……とハードルが高そうな一方、甘酒や塩麹づくりで米麹とふれあっているうちに、「自分でもあのモフモフを作ってみたい!!」と思い参加しました。
自分の手で種切りから切り返し、盛り、仲仕事などの作業を行った末に現れた「Myモフモフ」の景色は忘れることはできません★
以降、手間暇かけられた大切な麹がより愛おしく思われ、日本のあらゆる発酵食品の源泉である麹についての興味がさらに深まりました。
すでに様々な発酵食品をご自身の生活に取り入れ、「そろそろ麹つくりデビューしてみようかな」という方にも、「麹って??」という初心者の方にもピッタリ★
さらに、この本には英語の対訳がついています(英語の勉強にもなりますよ~)ので、日本の発酵食品に興味を持っている海外のお友達にもお薦めしたい1冊です。
■「麹本 KOJI for LIFE」
著者:なかじ
出版社:農山漁村文化協会(農文協)(2020/3/25)
仕様:21 x 14.8 x 2.5 cm /63ページ
ISBN: 978-4540191312
定価:1,430円 (税込)