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酒どころ・伏見をゆったり楽しむ【前編】|穴場観光スポット・名水、そして、銘酒を求めて……

こんにちは、茂野です。

京都の夏は暑いことで有名ですが、今年の夏もさらに暑く、まさに「酷暑」。ちょっと買い物に出かけようと日中外に出るだけで、汗がふきだしてきます……。そんな暑さの中でも、京都をぜひ満喫してもらえれば、と京都・伏見の穴場スポットを巡る観光ルートをご紹介したいと思います。

伏見といえば、発酵食品のひとつでもある「日本酒」にゆかりある、「酒どころ」として有名な土地ですね。

気温が上がりきっていない時間を利用し「御香宮神社」へお参り

地元の人たちから「ごこんさん」の愛称で親しまれている「御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)」は、伏見の産土神(うぶすながみ:土地の守護神)です。

本殿の主祭神は神功皇后(じんぐうこうごう)という女性。臨月でありながらも新羅(しらぎ:朝鮮最初の統一王朝)遠征を果たし、帰国後に応神天皇(おうじんてんのう)を出産したことより、安産・子育ての女神として篤く信仰されています。

京阪「伏見桃山駅」・近鉄「桃山御陵前駅」から大手筋商店街の反対側・東の方角へ向かって2~3分歩くと見える、真っ赤な大鳥居。さらに1分ほど歩くと、左手に威風堂々とした大きな表門が現れます。

重要文化財・表門と、極彩色彫刻が鮮やかな拝殿・煌びやかな本殿をチェック

家康の十男で、紀州徳川家の祖でもある徳川頼宣(よりのぶ)が、伏見城の大手門より移築した表門は、力強く重厚な造りで、圧倒されました。

上部には「二十四孝」(にじゅうしこう:古来、中国で親孝行だったと有名な24人のこと)の透かし彫刻が4つ並びます。左から、孟宗(もうそう)・唐夫人(とうふじん)・郭巨(かくきょ)・楊香(ようきょう)が彫られています。

平成9年に修復された拝殿は、桃山様式の極彩色彫刻がとても華やか。忘れずに見てほしいのが、彫刻の少し上の唐破風(からはふ:屋根の造形である破風〈はふ〉のひとつで、中央が弓形、左右両端が反りかえった曲線状の破風のこと)です。

上から順に、徳川家の葵の御紋、天皇家の菊の御紋、そして豊臣家の桐紋が並んでいるのが分かるでしょうか?実はこの三家の御紋が同時に並ぶのは大変珍しいそうで、一見の価値ありです。

表門と同じく重要文化財に指定されている本殿は、慶長10年(1605)に徳川家康の命により建立されました。拝殿と同じく、極彩色の彫刻が施されています。幕府が京都所司代に命じて造らせた建物ということもあり、細部の装飾までとても美しく、桃山時代の大型社殿として大変貴重なものなのだとか。

五間社流造(ごけんしゃながれづくり:6つの柱と5つの間を持つ、前面の屋根が前に大きく張り出した様式)という、流造の中でも大きな規模の社殿です。

妻側(つまがわ:屋根の短辺を指す)の金物には拝殿にもあった徳川家の葵の紋が刻まれており、青く塗られた梁には豊臣家の桐紋が描かれているので、正面だけでなく、側面や細かいところまでじっくりと見て回りたいですね。

酒どころ伏見の名水の中でも、名水百選にも選ばれている「御香水」

「名水あるところに銘酒あり」。兵庫県・灘、広島県・西条とならぶ三大酒どころの伏見には、名水と呼ばれる水源がいくつもあります。そのひとつが、「伏見の七名水」に数えられる御香宮神社の「石井(いわい)の御香水」です。

今から1000年以上も前に境内で湧き出たとされるこの水は、よい香りがし、飲むと病気がよくなると評判だったそう。環境の変化により明治時代に一度涸れてしまったそうなのですが、昭和57年の春に無事復元され、昭和60年には、湧水・地下水などの中でも歴史と由緒があり、なおかつ保全環境が良好な100か所のうちの一つとして、環境省が定めた「名水百選」にも選ばれています。

なんでも、京都府内で「名水百選」に選ばれている水は、こちらの御香水と、天橋立公園内にある井戸から汲み上げられている「磯清水(いそしみず)」だけなんだとか。「ろ過されている水は飲むこともできますよ」と教えていただいたので、ひと口いただきました。口当たりはまろやかで、ほのかな甘みが感じられ、そのまま飲むのはもちろん、お料理に使ったりするのもいいな、と思いました。

ペットボトルなどで持ち帰る人もいらっしゃるそうで、私が散策に行った日も、近隣住民の方が水を汲みに来られていました。

御香水に浸すと文字が浮かび上がる「水占い」を見つけたので、さっそく占ってみることに。中吉というなかなかよい結果が出ました!恋愛欄に「謙虚な姿勢が相手の好感を呼ぶ」との文字が……。とはいえまずはその「相手」を見つけるためにも、総運に書かれている「諦めず誠意を尽くせ 諦めは禁物」という言葉通り、周りの人たちに誠意を尽くすことを忘れないよう、諦めずに相手を探すところからスタートしたいと思います。

日差しが照り付ける日中は屋内の「黄桜 伏水蔵」へ

大手筋商店街近くの昔ながらの洋食屋さん(下町情緒あふれる大手筋商店街には京都らしさを感じられるお店がたくさんあるのでお店巡りをしても楽しいかもしれませんね!)でお昼を食べたあとは、京阪電車で「中書島駅」まで移動しました。向かうは「黄桜 伏水蔵」。中書島駅東口から1時間に1本、無料のシャトルバスが出ています。(伏水蔵へは15分ほどです)

到着すると「黄桜といえば」のカッパのモニュメントがお出迎えしてくれました。(私が見学に行った日はあいにく修復中で見ることができませんでしたが、写真スポットになっているので、ぜひカッパと写真撮影してみてくださいね!)

「黄桜 伏水蔵(ふしみぐら)」は、2016年にオープンした日本酒造りと地ビール造りの工程を同時に見学できる日本初の施設です。日本酒造りの骨格となる麹作りや酛立て、仕込みの様子を見学することが出来ます。普段はなかなかお目にかかれない「麹室」での麹作りの作業を見ることが出来るのもポイントですね。(麹作りの作業は1週間に1回のペースで行われているそうです)

他にも、京都初の地ビール「京都麦酒」の仕込みや醸造の工程が見られる醸造所、缶充填から箱詰めされるまでの充填ラインを見学することができます。仕込みから箱詰めされ、実際に私たちのところに届くまでを同じ場所で見られるのはすごく嬉しいですね。

私が特に興味深いと感じたのが、日本各地の地ビールの展示。ラベルデザインのひとつをみても、すごく個性に溢れており、どんな味のビールが入っているのか想像するだけで楽しい気持ちに……。

通常のビールでは透明感やのどごしを重視し、酵母を取り除くために徹底したろ過を行うのに対し、黄桜の地ビールは適度に酵母を残し、風味や味わいを生み出しているのだとか。副原料に「山田錦(酒米の代表格)」や京都産の「黒豆」を使ったものなどもあるとのことで、実際にどんな味がするのかが気になるところ。

日本酒造り・地ビール造りの方法や、黄桜の培ってきた技術を知ることのできる展示が充実しており、見終わるころには「黄桜のお酒が飲みたくてたまらない!」という気持ちになりました。なんとこの伏水蔵には、その思いを叶えてくれる場所があるんです……!

後編では、伏水蔵でしか飲めない日本酒を飲み比べたり、御香宮神社の主祭神・神功皇后が訪れた藤森神社へ行った様子をレポしたいと思います。

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