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【HELLO!Hacco】vol.3 大原で触れる本物の藍染《後編》

【HELLO!Hacco】vol.3 大原で触れる本物の藍染
《前編》 / 《中編》 / 《後編》

前編では藍染体験のレポートを、中編では天然の藍とそうでないものの違いなどをお伝えしてきました。

最終編となる今回は、「工房 藍の館」の下村さんに本藍の魅力について伺います☆

─ 現在、藍の葉を使った「天然灰汁醗酵建」で染めた製品は、市場の藍染製品の0.1%と耳にしたことがあります。そんな状況のなか、なぜ藍染のお仕事をされることになったのでしょう?

下村 父が西陣で藍染の着物の製造・卸の仕事をしていたので、大学時代から家業を手伝っていました。
でも藍を仕事にしようとは思わず、電器メーカーに就職し営業をしていました。

当時は、「紺色=地味」というイメージがあり、好きな色ではなかったですね。派手な色の洋服ばかり着てました。
しかし次第に、平坦な紺色とは異なる、藍が持つ色や光の奥行のようなものに魅了されていきました。

「工房 藍の館」Facebookページより

退職して山形の米沢市で染色家の諏訪好風先生に師事し、1年間染色を学びました。

藍染って一度にたくさんのものを染められないんです。だからといって、「化学藍」のように簡単に染められるものを使いたくないので、手間暇がかかり、ものすごく体力も使うんです。

※化学藍:1878年ドイツの化学者によって発明され、藍染めの藍と全く同じ分子構造コピーを石炭から大量に合成

でも、「天然灰汁醗酵建」という日本古来の技法を守りたい、父が創り出してきた藍の色を残したい、本藍の美しさを多くの人に伝えたいという思いから、平成5年、両親とともに大原にこの工房をオープンしました。

「いつかは本物の藍を」。そう憧れてもらえる存在に

─ 本藍染をされている中での喜びは?

下村 染めて、洗って、乾いた時に、理想的な狙っていた色が出た時が一番うれしいですね。

あとは、お客様から「綺麗な色ですね」という言葉をいただく時にもこの仕事の喜びを感じます。
人間のように藍にも若い藍と年老いた藍があります。往時を過ぎた藍ならではの味わいのある色出しなどにも今後は取り組んでいきたいですね。

─ 今回藍について調べていて、「藍四十八色」という言葉を知りました。藍にはたくさんの色味があるんですね。
藍の館さんのInstagramも拝見しましたが、藍というのは本当に表情豊かなのだと驚きました。
では、最後にはっこまち読者へメッセージをいただけますか?

下村 「天然灰汁醗酵建」で染めた製品は手間暇がかかるので、どうしても高価になってしまいます。しかし、天然の藍は青く美しく透明感があり、光を跳ね返すような明るさがあります。なので、お顔の近くに藍染の色を添えていただくと、華やかな印象が加わるんですよ。

「工房 藍の館」Instagramより

「若いうちは高くて手が出ないけど、いつかは本物の藍を身に着けたい」
そんな憧れを持っていただけるような本藍染の商品を今後も作り続けていきたいですね。

「工房 藍の館」Instagramより

藍の染料の中に手を入れ、藍の色を見て、藍の香りを感じ、そのしたたる音を聴き、藍と話ができたような気持ちになりました。
工房をオープンにし、自分の分身のような、大事な藍に触れる機会を作られている下村さんに改めて感謝と尊敬の念を覚えました。

そして数日前、徳島大学の教授の方による天然の藍を使って商品を染める研究を新聞で発見!
阿波藍を使った水溶性の粉末が開発され、藍色の和菓子やマカロンが紹介されていました。

藍色は来年の東京五輪・パラリンピックのエンブレムの色でもあります。
この先も藍を使う機会が増え、多くの方の目に触れることで、日本の伝統色への関心と本物の藍色を愛でる心が次世代へ継承されていくことを願いつつ、私自身も天然の藍の彩りを楽しんでいきたいと思います☆


工房 藍の館

住所:
 京都市左京区大原大長瀬町276
WEB:
 https://aizomeya.com/
Facebook:
 https://www.facebook.com/aizomeya/
Instagram:
 @koubou_ainoyakata
※出張が多いため、お越しの際はお問い合わせの上、必ず事前予約をお願いいたします。

はっこまち編集部

藤井綾子

京都市在住。好きな発酵食品は、どぶろくと紹興酒。好きなものは和菓子、親子イベント、世界遺産。オススメの旅先はガラパゴスです。



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