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パスタやアヒージョで活躍する「アンチョビ」とは?使い方やオイルサーディンとの違いを解説

イタリアンでおなじみの「アンチョビ」も実は発酵食品!

パスタやアヒージョ、ピザ、バーニャ・カウダなどイタリア料理やスペイン料理でおなじみのアンチョビ。
実はアンチョビは、カタクチイワシやウルメイワシなどの小型イワシの頭・内臓を取り除き塩漬けしたものを、発酵、熟成させて作る発酵食品なんです。
発酵&熟成させた後さらに油漬けにし、缶や瓶に詰めて販売されます。

写真左:アンチョビ、写真右:オイルサーディン

よく似た食品として、オイルサーディンを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、オイルサーディンはイワシ類の魚を油漬けにしたあと熱を加えて調理したもので、発酵や熟成の過程がありません。また、オイルサーディンが火を通しているのに対して、アンチョビは非加熱で作られるのが特徴です。

そのまま具材として使われるオイルサーディンに対して、強い旨味と塩味があるアンチョビは、そのまま食べるというよりは調味料として活用されていることが多いですよね。
少し加えるだけで、料理の旨味がぐんと高まり、奥行きのある本格的な味わいになるので、私もパスタの風味や味付けによく利用しています。

アンチョビの起源とは?

アンチョビの起源は明らかになっていませんが、ローマ帝国で高級品として富裕層の間で扱われていた調味料「ガルム(魚醤の一種)」を作る際に生まれた固形物(魚醤は魚を塩漬けにして発酵させ主に液体部分を使うので、その残りの発酵が進んだ魚の部分)がアンチョビに転じていったのではないかと言われています。(ローマ帝国の滅亡とともに、ガルムの製法は途絶えてしまったそうです)

日本では、同じカタクチイワシを原材料にした代表的な食材に「煮干し」がありますが、「アンチョビ」は1950年ごろに日本でも流通するようになり、1980年代のイタめしブームで広まり、現在ではおうちでも気軽にアンチョビを楽しめるようになりました。

アンチョビに含まれる栄養素とは

DHA・EPA

アンチョビはカタクチイワシが原料の青魚の発酵食品であることから、DHA・EPAが豊富に含まれています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)、そしてEPA(エイコサペンタエン酸)は、不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)と呼ばれる脂肪酸です。「必須」とついていることからもわかるように、この脂肪酸は、脳や目の網膜、心臓などにも多く存在し、私たちにとって大切な存在です。ですが、体内ではほとんど作られず、食事などから取り入れる必要がある成分なんです。
さらにどちらも、高血圧や動脈硬化の予防や改善、中性脂肪値を下げるなどの効果が期待できる栄養素です。

ビタミンB12

赤血球の合成、血を作る作用や、新しい細胞を作り出すために必要な細胞内の「核酸」の合成を担う成分であるビタミンB12。
主に動物性の食品に含まれており、貧血予防に適した栄養素です。

ビタミンD

カルシウムの吸収を助けるビタミンDもを含むアンチョビ。カルシウムと一緒に摂れるのがうれしいポイントですね。

セレン

セレンは土壌や水など自然界に広く存在するミネラルの一種。抗酸化作用で細胞の酸化を防ぎ、血栓症の予防にも役立つといわれ注目されている栄養素です。

アンチョビの種類

アンチョビは、三枚おろしにしたフィレ状のまま缶詰や瓶詰されたもののほか、渦状に巻いたロールタイプのもの、そしてペースト状に加工し、チューブで販売されているものがあります。
ペースト状のものはにんにくやショウガのチューブと同じ感覚で使え、ほぐす必要がないのでバーニャ・カウダのソースを作るのに適しています。
それぞれの調理方法によって使い分けるのがおすすめです。

アンチョビの使い方やアレンジレシピ

アンチョビを買ったものの、なかなか使いきれないという方におすすめ。
いつものお料理に手軽に取り入れられるアレンジを3つご紹介します。

アンチョビキャベツ

にんにく、キャベツとアンチョビを一緒に炒めるだけの簡単副菜メニューです。旨味と塩味でお酒が進む味わいですよ! オリーブオイル、刻んだにんにくをフライパンで熱し、香りが立ったら、食べやすいサイズにカットしたキャベツとアンチョビを入れて中火~強火でさっと炒める。最後に塩で味を調えたら完成です。アンチョビの量はお好みで調整ください。

アンチョビパスタ

ペペロンチーノなどのいつものパスタに風味付けとしてアンチョビを加えると、コクと旨味が増したまるでお店のようなパスタが完成します。
フライパンに刻んだにんにくと鷹の爪とオリーブオイルを入れ、香りが立つまで加熱したらお玉1杯ほどのパスタのゆで汁を加えてひとに立ちさせます。
オイルとゆで汁がなじんだら(乳化したら)アンチョビを加え、そのあとに茹でたパスタを加えてよく混ぜたら完成です。 辛いのが苦手な方は鷹の爪なしでも美味しく食べられます。
プラスできのこを加えたり、ナスやベーコンを加えたりと具材のアレンジもききますよ。今回はオイルベースのパスタですが、トマトパスタの風味付けにもおすすめです。

アンチョビトースト

アンチョビというとガーリックトーストを思い浮かべる方も多いと思いますが、今回はチーズトーストにアンチョビをプラスオンしたチーズトーストアレンジをご紹介します。
トーストの上にピザ用チーズと刻んだアンチョビをのせてトースターで焼き、こんがりとした焼き色になったら完成。
そのままはもちろん、上からはちみつや胡椒をかけて食べるのも絶品です。あまじょっぱいクセになる味わいであと一口と手が進みますよ。 いつものトーストの味変にいかがでしょうか。

熟成された奥深い味が手軽に加えられる万能調味料

手軽に取り入れられ、旨味とコクをアップしてくれるアンチョビ。
塩分が強いので、塩の加減は必要ですが、あらゆる料理の風味付けに役立つアイテムです。 ぜひ、おうちごはんを作る際の調味料のひとつに加えてみてください。

バーニャ・カウダも楽しめるHaccomachiの発酵ごぜん

発酵カフェ「Haccomachi」の看板メニュー「Haccomachi特製 発酵ごぜん」では、今回ご紹介した発酵食品「アンチョビ」を使用したバーニャ・カウダも楽しめますよ♩

季節野菜のバーニャカウダ アンチョビソース

季節のお野菜を旨味とコクを活かしたバーニャカウダソースでお召し上がりいただけます。 熟成が進んだアンチョビの味わいがしっかりと感じられる本格的なソースで、野菜がもつ美味しさが引き立ちます。

他にも西京味噌や塩麹、バルサミコ酢、ヨーグルトなど、身近なものからちょっと意外なものまで、様々な発酵食品を取り入れた12種類のお料理がラインナップ。
京都旅行の朝ごはんや街歩きの途中のランチなど、お近くにお越しの際にはぜひお試しください!

※お席が混み合いますので、ご予約いただくのをおすすめしています。

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