もうすぐ雛祭りですね。
毎年のことではありますが、雛人形や菜の花・桃の花などを飾ったり、雛人形モチーフのかわいらしいお干菓子をいただいたりすることで、日本の文化の奥深さや春の訪れを感じることができます。
ところで、雛祭りをお祝いするお酒があるのをご存知ですか?
「白酒(しろざけ)」というお酒です。
今回は、お取り寄せし、実際に味わってみた「白酒」についてご紹介していきます。
白酒
白酒は、みりんや焼酎に蒸した餅米・米麹(こうじ)を入れて数ヶ月熟成させ、完成したもろみをすりつぶして造られます。
トロリとしていて、色は白くにごっており甘みがあります。
今回は、白酒の元祖「豊島屋の白酒」をお取り寄せしました。
東京都千代田区にある豊島屋本店は慶長元年(1596年)創業で、初代 豊島屋十右衛門氏が酒屋兼居酒屋を始めたのが起源と言われています。
その十右衛門氏が蜜醂(みりん)にもち米をすり潰して仕込んだ甘いお酒「白酒」の醸造を始めました。
たちまち江戸中の評判となり、「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と詠われるほどで、売り出しの日には、江戸中から白酒を求める人が押し寄せたのだとか。
その結果雛祭に白酒を供える習慣が始まったと言われています。
豊島屋の白酒は、『江戸名所図会』や川柳・狂歌などにも数多く登場し、江戸情緒を今に伝えています。
Haccomachi編集部のメンバーで試飲してみたのですが、皆の口から出た最初の一言は「美味しい♡」でした!
アルコール度数が7%とビールよりも高いというだけあり、しっかりとした骨格・ボリューム感があります。そこにみりんならではのほのかな香ばしさ・麹の風味が加わることで、気品あふれる味わいだと感じました。
私は、清酒もどぶろくも甘酒も本みりんも(おそらくどんなお酒も)好きなので、この白酒も「大好き!」と感じたのですが、糠のような風味が強い甘酒は苦手なメンバーも、白酒にはみりん由来のコクと上品な甘みがあって飲みやすかったとのこと。
「自分が江戸時代に生まれていたら、今みたいにいろんなお酒がある訳じゃないから、絶対手離せなくなってるよね~」という意見も。
雛祭りの時だけでなく、ポートワインやシェリーのように食後酒としていただいてみたいと思うほど、本当に美味しいお酒でした。
白酒・甘酒・どぶろくはどう違う?
最近の雛祭りでは、白酒と見た目がよく似ている米麹甘酒が用意されることも多いのですが、米麹甘酒とはどう違うのでしょうか?
一番大きな違いはアルコールを含むか含まないかです。
米麹甘酒がノンアルコールなのに対し、白酒のアルコール度数は10%前後で、酒税法上はリキュール類に分類されます。
もともと雛祭りで飲まれていたのは白酒でしたが、アルコール分がありお子さんが飲めないことから、代用品として甘酒を飲む習慣が広まったと考えられます。
また、「どぶろく」は以前の記事でもご紹介しましたが、米と米麹と水を原料として発酵させたお酒です。
一方白酒は製造中に“発酵”の工程がありません。
醸造酒や蒸留酒に香料や果実、糖を加えて造る「混成酒」に分類され、どぶろくとは原料も製法も異なります。
「白酒」は「しろざけ」だけではない?
ちなみに、「白酒」には「しろざけ」以外の読み方もあり、読み方により指す対象も異なります。
・しろき:収穫されたばかりの新米を使って醸造したお酒で、新嘗祭などの神事で供えられる。
・はくしゅ:どぶろくなど白く濁ったお酒。
・ぱいちゅう(ばいじゅう):中国の蒸留酒。コーリャン、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモなどの穀物から造られる。
これまでHaccomachiでは、甘酒やどぶろくについてはご紹介してきましたが、編集部員全員、白酒をいただくのは今回が初めてで、その成り立ちや歴史を知ることができました。
“麹のリキュール”誕生!「白酒」をヒントに作られたお酒
そしてもう1つ、「白酒」をヒントに作られたお酒をご紹介しましょう。
それは、伝統製法で造られた現代風にリメイクされた飲むみりん、麹のリキュール「Me 無濾過生原酒」です。
「Me」には以下のような特徴があります。
◆糖類不使用:とろっとしていながら、麹由来の爽やかな甘さ。
◆低GI:みりんは低GI調味料。甘いもののGI値を比較してみると、上白糖は109、はちみつは88、メイプルシロップは73に対し、本みりんは15なのだとか。罪悪感なく楽しめます。(※GIとは…食後血糖値の上昇を示す指標)
◆酵素含有:みりんは火入れするのが一般的ですが、「Me」は生の状態で出荷されるため生きた酵素が入った状態で味わうことが可能。
◆おり下げ剤不使用:通常みりんの製造においては、「おり下げ剤」というものを使い透明度を高める「清澄」という工程が行われます。「Me」は飲み物として開発された特別なみりんだからこそ、人工添加物を使用したくないという想いから、おりが下がるまでひたすらじっくり待つ「おり下げ剤不使用」の自然派みりんに仕上げられています。
ロックで楽しめるのはもちろん、ソーダで割ってハイボール風にしたり、フルーツと合わせてサングリア風にしたり、冬はお湯割りにしたりと気分によってさまざまな楽しみ方が可能。
私は、ロックでいただくのが一番好きなのですが、もし口にされたなら、「みりんってこんなに美味しいんだ!」と思われること必至だと思います!
ひな祭りには白酒を
今回は、「白酒」がどういったお酒かをご紹介しました。
江戸初期から受け継がれているお酒を令和の時代にいただけるなんて、ワクワクしてしまいますよね。
今年は、江戸時代の風情に思いを馳せながら、「白酒」でひな祭りを祝ってみてはいかがでしょうか。
●出典:小早川医院webサイト
https://kobayakawa-dm.com/blog/staff/1033