INTERVIEW

奥野由恵さんインタビュー・後編|「カラダにおいしく、やさしく」大阪・心斎橋に癒しの空間「MÖEB」が生まれた理由。

前編に引き続き、大阪・心斎橋のカフェMOEB(モーブ)の店長である奥野由恵さんよりお話をお伺いします。後編ではお店誕生の経緯やMOEBをMOEBたらしめる奥野さん自身の経験や思いについてお話していただきました。

 

「体に良いものを食べたい」異国の地で生まれた思いを形に

 

─ お店を始めようと思われたきっかけを教えてください。

奥野 大学卒業後、旅行会社で働いていたのですが、仕事が忙しく職場近くのコンビニでご飯を買って済ませることが増え、肌荒れや体調不良が続いていました。その会社で2年ほど働いてから退職したときに、「今しかない」と海外へ旅行することにしたんです。

─ 海外はどちらに行かれたんですか?

奥野 友人のいるNYとドイツです。現地ではヘルシー志向の方が多く、オーガニック食材の専門店が至る所にあるので、食材を自分自身でこだわって選ぶことのできる環境が整っていました。また日本食ブームの中、お味噌汁がとても人気だと聞き、日本人よりも積極的に発酵食品を取り入れ健康な食生活を意識していると感じました。

日本から遠く離れた地で、健康への意識の高さを目の当たりにしたときに「日本でも同じように、もっと気軽に体に良いものを食べたい」と思ったのがきっかけです。

─ その後すぐにお店をオープンされたんですか?

奥野 専門的に料理を学んだことはなく、知識が豊富だった訳ではないので、まずはオーガニック料理や薬膳について勉強したり、有機野菜や無添加食材を使った料理について学び、ナチュラルフード・コーディネーターの資格を取得しました。

─ 思い立ってから動き出すまでが素早いですね。

奥野 「自分が行きたくなるお店を作りたい」という強い思いで駆け抜けたという感じです。その時を振り返ると正直、当時の自分に対して「何してるんだ!」と思うこともありますね(笑)。でも今はおいしいと言ってくださるお客様の笑顔や、お店を通じてできた繋がり、一緒にがんばってくれるスタッフがとても大切で、あの時行動してよかったなと思っています。

─ 初めての世界に飛び込むんですから、不安はつきものですよね。

奥野 オープン当初は、わからないことだらけで毎日とても忙しく、怒涛の勢いで時間が過ぎていった印象です。時には母や妹に手伝ってもらうこともありましたが、基本的には全て1人でやらなければならない。それでも負けずに続けてきたおかげで、今ではスタッフも7人に増え、毎日和気あいあいと営業できています。

中にはヘルシーな体に良い食べ物が好きで料理教室やパン教室を開いていたり、将来的には海外でカフェをオープンしたいという夢を持ったスタッフもいます。「健康でおいしいものを食べてほしい」という私の思いに共感してくれる皆さんに支えてられているおかげで日々がんばることができています。

── お店の名前はどうやってつけられたんですか?

奥野 「Make Our Earth Beautiful」の頭文字をとった造語です。誰でも、手軽にたっぷり酵素や栄養を摂取して「Beautiful」になってもらいたいと思い、この名をつけました。

 

未来への挑戦を応援し、夢を叶えるための1歩を踏み出す場所

 

─ (ショップカードを見つつ)イベントスペースとして場所の提供もされているんですね。

奥野 自分が会社を辞めてお店を始めた経験を生かして、同じように夢や目標に向かって頑張っている人を応援できないかというのが動機です。メインはもちろんカフェとして「発酵食品やオーガニックな体に良いものを気負わずに食べられる場所」であることですが、それにプラスして「自分の夢や挑戦を世界へ発信する場所」としても存在したいと考えています。

─ 食に関わるイベントが多いんでしょうか?

奥野 料理教室に始まり、モデルさんやヨガのインストラクターの方のセミナー会場、作品を展示するギャラリーとして使っていただいたり、食だけに限定せず面白いことや素敵なことならなんでも大歓迎です。

─ 本当に幅広いんですね。

奥野 ジャンルは問わず、何かに挑戦している人を少しでも応援したいという気持ちです。それにこういった発信場所としてスペースを提供することで、カフェだけでは生まれなかった繋がりや関係を築くこともできていますし、イベントを開催することでお客様同士でも交流して楽しんでもらえるのも場を提供して良かったと思える点ですね。

以前、はっこまちに登場されていた安藤菜美さんも、実はここで1日カフェを開催してくださったんですよ。私も大好きな発酵食品を、フルに活用したメニューが食べられるということで注目度も高く、皆さんに喜んでいただけました。

─ 安藤さんも発酵食品から健康な食生活を考えられているというところで、思いは同じですよね。

奥野 「おいしくて体に良いものを食べてもらいたい」という話を聞いた共通の友人が紹介してくれて、使っていただくことになりました。年齢が同じで発酵食品好きということもあり共感する点が多く、場を提供した私としても勉強になることがたくさんありました。

─ 発酵食品や健康な食という共通点が様々な方面に広がっているんですね。

奥野 生活の中で全ての根幹は「食べること」ですが、生きていくにはそれだけでは足りないので。良いものを食べることで健康な体になり、自分の好きなことを追求することで心が健康になれば、人生が豊かになると思っています。

カフェというジャンルにとらわれず、思いを同じくすれば受け入れて応援してくれる心の広さも、MÖEBと奥野さんが愛される理由ではないでしょうか。はっこまちのこともいろいろと聞いてくださって、「ぜひ一緒に何かできればおもしろいですね」と瞳をキラキラさせてくれました。可能性があれば挑戦するという姿勢を目の当たりにしたようです。

 

良いものをより多くの人へ届けていきたい。先を見据え新たな形を目指す。

 

─ 他にどんな試みをされているんですか?

奥野 テイクアウトや、お客様のご要望に合わせたケータリングなども行っています。ご予算や内容に合わせてお客様にとってベストな形で、当店の料理を食べていただけるように力を入れていきたいです。

オープン前にはお弁当の提供なども構想していたので、ゆくゆくはお弁当+スムージーで1日分の野菜を摂っていただけるようなものも提供したいですね。

また、少し前はディナー営業もしていたのですが、しっかりお店を形作ることのできてきた今だからこそ一旦ランチ営業に集中しようと考え、18:30までの営業にしています。ディナーメニューもみなさんにおいしいと言っていただけていたので、いつかはディナータイムも再開するつもりです。

─ ディナーメニューへの展開も新たな可能性のうちのひとつですね。

奥野 可能性といえば、かねてからの「忙しい人にも気軽に食べてもらいたい」という思いを叶えるために、「UBER EATS(ウーバーイーツ)」という宅配サービスを活用させていただいています。

東京の一部エリアのレストランが対象だったんですが、2018年の春より大阪での展開を始めたとのことなので、こういったサービスを活用し、オフィスで働く忙しい方にこそ食べもらいたいと思って考えたメニューをより多くの人へ届けていきたいです。

遠方でも気軽に注文し食べることができる機会が増えるので、さらにいろんな展開をしていけるのでは、と考えています。

─ 忙しくコンビニごはんで済ませがちな人にとってはありがたい展開が期待されますね。

奥野 確かにコンビニは便利ですし、忙しい時は助かることもあります。ただ、日本では利便性が求められ食への意識が低下していると感じたのがお店を始めるきっかけだったということと、食べたものによって自分の体ができているということから考えると、自分にとって良いものを選んで食べたいですね。

とはいえ厳しく制限したり何か一部のものを食べないというやり方も体にとっては良くないと思うんです。何事もバランスをとることが大切なので、何かを制限して「食べない」という選択をするのではなく、体に良いものをバランスよく食べることを意識しています。

また海外での経験から「おいしくバランス良く食べる」というのが日本食にとても合っていると感じたので、今後は和食も勉強して、自身の生活やお店に生かしていきたいですね。

奥野さんのお話を聞いて、無理はせずに、でも軸はぶれることなく自分のやりたいことに向き合う姿勢が今のMOEBを形作ってきたんだなと実感しました。気持ちがすさんだとき、何でもないとき、うれしいとき、どんな時でも受け止めてくれる大きな強さを持っているのがMOEBというお店なのかもしれません。


■PROFILE

奥野 由恵

1990年生まれ。海外で食の大切さに気づき、「ヘルシーをお手軽に」をモットーに野菜たっぷりのスムージーやランチを提供するカフェ「MOEB」を大阪・心斎橋に2015年7月にオープンする。

MOEB(モーブ)

ADDRESS: 大阪市中央区西心斎橋1-10-41
TEL: 06-4963-2182
OPEN: 11:00~18:30
CLOSE: 火曜日
URL: http://cafe-moeb.com/
Facebook: https://www.facebook.com/moeb0701
Instagram: @Moeb_Osaka
Twitter: @Moeb_Osaka

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